together -Sandstorm-  11/28(火曜)




水着か。
今年の夏に入ってから一回も履いてないな。
変える時期かな。

俺とハルヒは近くの店に入って水着を選んだ。

「キョン、みてみて!どれがいいと思う!?」

いやハルヒなら全部似合うと思うね。
そのスタイルなら履いてもらえる水着も、さぞ本望だろうに…

「なによ… なんか言いたい事があるの…?」
「フフフ、ハルヒが…な…」
「え? なに?」
「なんでもないよ」
「それよりキョンはどれが好み?」
「んー… これとかどうだ?」
「なんか… 露出度高いわね…」
「そんなもんだろう」

俺が選んだのはかなり大人っぽい白い水着
ハルヒは俺をチラチラ見ながらその水着を手に取った。

「でも、これいいわね」
「似合うとおもうぞ?」
「そ、、そう?」
微妙に照れているようだ。
「じゃぁこれにしよっと、キョンはどうするの?」
「ん? もう選んでいるさ」

俺が選んだのはハルヒの白とは逆の黒く染まった水着だ。

「黒…  ね…」
「黒は嫌か?」
「べ、別にそんなんじゃないけど…」
「なんだよ…?」

――――――――――――――――――――――――

「まぁいいわ、ほら貸しなさい、買ってくるから」
「またかっ!? 本当にいいのか!?」
「いいって! 気にしないで」

キョンの黒い水着…
本当は、あまり選んで欲しくなかった色…
理由は、あたしの白と真逆の色だから…
本当は同じような色がよかった…

「なぁ、ハルヒ」
「えっ! ぁっ、 うん、何?」
「さっきから俺の水着見てなんか暗い顔してるけど、やっぱり嫌なんじゃないか?」
「そっ、そんな事ないわよ?」

嫌よ…

「ならいいんだが…  俺的に白の隣りは黒って感じがしたから黒にしたつもりなんだが
な」

え…?

「誤解するなよ? 隣りってのは一緒にいるならってことだからな?」

よく意味がわからなかった…
でも、なんとなくわかった。
白がいるなら黒もいないといけない。
白に似合うのは黒
みたいな感じかな…?
でも、それを聞いてホッとした…。
キョンは少しでもあたしから離れたいために真逆の黒を選んだのかと思ったから…

「なんでいきなり笑顔になるんだよ…?」
「別にっ! それより買い物終わったらどっか遊びにいかない?」
「まだ準備してないんだが…  まぁいいか」

あたしはレジでお金を払い商品をもらった。
キョンと… デート?出来るのかな…?
キョンはあたしの手から水着の入った服を取ってトートバックに入れた。
手も… 取ってよ…
あたしは手をブラブラとしてみたがキョンの視界に入らなかったのか無反応…
キョンの…  バカ…


――――――――――――――――――――――――

ハルヒが手をブラブラしてたので握ってみようか迷ったが別になんも得はな… くわない
かもしれんがいちよう止めておいた。
しかしハルヒの顔はいかにも不満気だった…

「本当に大丈夫か?」
「何がよ?」
「ハルヒが」
「なんで…?」
「顔が赤いし、さっきから様子が変だ」
「普通よ? ふつう」
「そうか? なんかあったら言えよ?」
「なんか…?」
「腹痛いとかだるい とか」
「あっ、そうゆうことか…」

なんで残念そうな顔してんだこいつは…

だが歩いてるうちに目的地に着いたようだ。

そこは、映画館。

どうやら、ハルヒは見たいやつがあるらしい。
なぜ俺がいるときに…?

「べつに、オマケよオマケ」

人をオマケ扱いするな…

「で? どれが見たいんだ?」
「これよ、これ!!」

ハルヒが指さした先にあるものは…
今もっとも怖いと噂のホラー映画。

「まぢか…よ…?」
「うんっ! おおまぢよ!」

正直あまり見たくない映画だった…
テレビでよくCMが流れていたが、それだけでもかなり怖かった…
よし、ここは…

「やっぱ、今の時代SFだろ!」
「さっ、いくわよ!」
「SF…」
「あっ、そうね、ポップコーン買ってかないとね」
「エスエ、、」
「やっぱキャラメル味よねー」
「エス…」
「キョン! 飲み物何がいい?」
「エ…」
「ほら、中入るわよ」

既に意味が無かった…
一度決めたら実行。 それが涼宮ハルヒだ。
もうしかたない… 見よう…









だっが。
なかなかおもしろいじゃないか。
ハッハッハ! これなら余裕だぜ!

と思ったのは遠い昔。
中盤ぐらいで俺はビビリまくり。
バックミュージックだけでもビビる…

ハルヒは…    なんで俺の腕を抱いてるんだよ…
言い出しっぺがこれかよ。
だからSFにしようといったん、、、、、、

『きゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!』





心臓が止まるところだった…
この女優…  なかなかやるじゃないか…
ところでハルヒ
腕が折れそうなのだが…

『近寄るな!!!』

ハルヒ…  大丈夫か…?
手が震えまくってるぞ?
『何…? 誰なの…?』

映画が気になって腕の痛みを忘れた…

『嘘…  赤井君…?  なんで…?』

血まみれになったヒロインの彼氏、赤井君がロッカーの中に入っていた。

『ドサッッ  ギギギーッ ぐちゃっ…』

気持ち悪い…
赤井君の腕が地面に落ちた…
腕?    ハルヒ…  俺の腕が…

『なんなのよ… これ… 嘘でしょ…?  いや…  いやぁぁぁぁぁぁぁ!!!』

俺も嫌だ、なんて心の余裕があったのもこれが最後

『カッ カッ カッ』

廊下から足音が

『!!  とにかく隠れなくちゃ…』
『カッカッカッカッ』
『この箱の中…  しか…』

それからヒロインは箱に入ろうとしたが

『ザンッ!!!』

効果音だけでビクる…

『ぇ…?』

『さくら… たすけて…』

ついでにさくらというのはヒロインの名だ。
そんなことより、赤井君が… なぜ…?

『赤井…君…?』
『さくらぁ… もうだめだ…』
『離して…!』
『もう何もかも遅いんだよ…』

よく喋る死体だな。
なんてツッコミはいらん…

『カッカッカッカッ カカッ』

『隠れないと…!』
『さ…く…』
『離せっ!』

ヒロインが赤井君を蹴り飛ばした。

『ガラガラガラ』

敵が来たようだ。

『ドックン、ドックン…』

『チュウィィィィィィィィィィィンッッッッ!!』

電動鋸の音が…

『ぐしょっ グシャ ぐちゃっっ』



『カッカッカッカ』

どうやら敵が出ていったらしい。

『よかった…  早くこの場所を出よう…』

ヒロインが箱から出た…
画面に映ったのはもうなにか分からないほどに引き裂かれた物体…
『っっっ、ぅぉぇ…』

ヒロインが吐いた…

はっきりゆおう…
今、俺も吐きそうなほどに最悪の描写だ…

場内も何人か席を立ってどこかに行ってしまった。


俺は吐き気を抑えてハルヒの方に目をやった。

「ハルヒ…? 大丈夫か…?」
「大丈夫なわけないじゃない…」

ハルヒが俺の腕をより一層強く抱いた…




「ごめんね… 痛いかもしれないけど… このままにしてて…」

「あぁ…」


腕なんかどうでもいい…
ハルヒが安心してられるのなら…






映画のクライマックスはやはりヒロインが死ぬものだった…


しかも終わり方がまたグロテスクで再び吐き気に襲われた…






スタッフロールが流れている間はハルヒも安心しているのか、俺の腕を軽く持っているだ
けだった。






だがスタッフロールが終わったら画面が砂嵐になった。

ザッーザッーザーザー

何か声が聞こえる…
しかし砂嵐の方の音が大きくほとんど聞こえない。
プッゥーン と音が鳴り画面が消えた。

ハルヒは驚いたような顔をして画面を見ている…

「ハルヒ… どうした?」
「どうしたって… 今の見てなかったの?」
砂嵐か?
「そうだけど… あんなに顔がくっきりと…」

ハルヒが何を言っているのかまったく意味がわからなかった…


だが入口付近でスタッフ見たいな人たちが何かもめている。

ハルヒはトイレに言ったので暇だから盗み聞きしてみた。





今となっては後悔している…
こんな話を聞くんじゃなかった…



スタッフたちが話ているのは先ほどの砂嵐。


どうやらあの砂嵐は映画にはまったく入っていないシーンらしい…


「キョン、行くわよ。       キョン…?」
「うわっ!  ハルヒ!?いつのまに…」
「何いってんのよ? ほら、ゲームセンター行こっ!」

だめだ…  モヤモヤが晴れない…  なんなんだ… あの砂嵐…

「ハルヒ…」
「何?」
「さっきの映画の砂嵐なんだが…  最後なんていったかわかったか?」
「わからない…  よく聞こえなかったから…  でも砂嵐の中に人が映ってたよ…?」
「そうか…」
「なんで? 重要な所だったの?」

ハルヒには言わないほうがいいだろう…






気晴らしだ、 ゲームセンターで…


ハルヒが真っ先に向かったのはプリクラ。

「俺と…  撮るのか…?」
「あったり前よ!」

なんでこんなカップルみたいな事をしなくちゃならんのだ…


「ほら、早く入って!」









出来上がったプリクラ。
ハルヒは撮った後に編集ボタンを押した。

「キョンはいる?」
「いいよ別に」
「そっ!じゃあ外でまってて」



俺は大きな写真を撮るしか能の無い箱から出た。

ベンチに座って待つこと3分。
ハルヒが出てきた。

「ごめん、待った?」
「いいよ」
「じゃぁ遊びましょ!」




その後、俺とハルヒはいやとゆうほどゲームセンターで遊んだ。








「じゃぁそろそろ帰りましょ」
「そうだな」

携帯の時間を確認しようとしたらメールが一通来ていた。

送り主不明。




開いて見たが空メール。
悪戯かな、と思ってキャンセルボタンを押して待ち受け画面に戻ったら…

「なんだよ…これ…」

少し前を歩いていたハルヒが振り向いてこちらに走ってきた。

見せない方がいい…

俺の脳はそう判断したため携帯を閉じてポケットの中に押し込んだ。

「どうしたのよ?」
「いや、なんでもない…」
「怪しいわね…」
「なんでもないって!」






自宅に帰ってきて再び携帯を開いた。


待ち受け画面が戻っている…
先ほど見たメールも消えている。

見間違いか?



いや、そんなはず無い…

どっからどうみても砂嵐だった…



なんなんだ… いったい…




俺は自宅にあるパソコンを起動させてさっきの映画の情報を集めた。





砂嵐の情報は0






くそっ!

俺はパソコンの電源を切って明日の準備をする事にした。





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