次の日の朝、今俺は長門の家へ向かっている途中である、現在の状況を解説するならば
さっき「すぐきて」という内容の電話がかかって来た。時間にして5時、つまり「今」か
ら30分前のことだ。
「すぐ」じゃなくて申し訳ないが俺は朝が弱い方である。そんなに早く覚醒できるなら毎
日ギリギリに家を出たりしない。十分でも長く寝ていたい。とか言ってる間に高級分譲マ
ンションが見えてきた。変わり者のメッカに自転車を停め、オートロックのインターホン
を押す、向こうで受話器がとられる気配がするが無言。
「すまん、おくれた」
と言うと無言のままロック解除、エレベーターを使い、708号室前まで来る。ドアの横
のインターホンを押したら、受話器が取られた。…?なんだ?長門の後ろから気配…とい
うかぶっちゃけ声が聞こえる。しかも5、6人は居そうだ、まさか異世界人だったりして
「種類で分別するのであればそれに該当する。」
……マジか?
「事実。」
冗談のつもりで聞いたのだが…ついに来たのか
「カギは開いている。」
ガチャ
…切られた、開いているつってもなぁ、中には「異世界人」が居るんだろ?少し心の準
備ってもんが必要だ。
それに古泉と朝比奈さんはすでに着いているだろうから5・6人−2人で異世界人は3、
4人も居るってことか!?
かんべんしてくれよと心の中で呟きつつ意を決してドアを開けると、玄関に誰かいた、
誰かというあいまいな表現はそいつの顔を判別しようと思った瞬間背後に回りこまれ、顔
を直視出来なかったためである。
しかもそいつはそのまま腕を後ろに取られ拘束したあと俺をうつ伏せに押し倒された。身
動きがとれん。
俺が困惑しているとそいつが声をあげた
「有希ー!なんか縛るもの…ロープかなんか持ってきてー!」
そうさっきからそいつって呼んでるのはハルヒだったってわけだ。
だが謎は謎を呼ぶ、通常ならばハルヒがここにいてもなんらおかしくはない。
だが今は異世界人どーこーという話だったはずだ、現在もっとも居てはいけないのはハル
ヒのはずだ。
何故ここに居る?そしてなぜ俺を組み敷く?瞬間的に脳内討論を始めていたがそれは中断
される、
さっきのハルヒの言葉を受けて誰か玄関の方へやってきた。
その北高の制服がとても似合う(別に制服フェチじゃないからな?)容姿は長門以外の何
者でもなかった。
いや他人が見れば長門であっただろう、しかしその長門は俺を驚愕させるには充分な要素
をもっていた。
長門は困った顔をして組み敷かれている俺を眼鏡越しに見つめていた。
当然俺の脳内には12月の事がフラッシュバック!混乱を極めていた、またあの世界
へ??と思ったが
それだとさっきの電話はどうなる?という疑問へと辿りついた。
どうなってるんだと思っていたらまた誰か玄関の方へ来た、おそらくその時の俺の顔は相
当なさけない顔を
していたと自負する。たぶん驚愕と困惑と安堵と動揺をブレンドさせた顔だったからだ。
引っぱっても仕方ないので言うと長門がドアの横に立っていた。つまり今玄関に居る長門
は計2人、
だが俺は自信をもって言える。こいつらは別人だ、と。
今来た長門は「こちらの長門」だった、じゃあなんで2人とも居るんだよという話になる
が俺は来たばっかりで解らない。
どちらにしてもこの状態じゃ話が進まないので「こっちの長門」に依頼する、助けてくだ
さい
「…………どいて。」
それにハルヒが渋々従う。よくよく見ればそのハルヒもブレザーを身にまとっていた。
これは「あちらのハルヒ」…か?頭がこんがらがってくる…
「こっち」
「こちらの長門」に言われるままに奥へと進む、後から「あちらの長門」(めんどうだ仮
に長門'とする)
と(長門と同じく)ハルヒ'がついてくる、居間ではとんでもないカオスが繰り広げられ
ていた、卒倒しかけたね。
想像つくか?それぞれ朝比奈さん×2人、古泉×2人が談話してるんだぜ?
つまり現在この家の中には俺×1・ハルヒ×1・長門×2・朝比奈さん×2・古泉×2と
いう状況。
W朝比奈さんはよしとしても古泉に「おやっ?待ちましたよ?」とハモられてもみてみ
ろ、怖気と寒気と悪寒と殺意がそれぞれ2倍だまたもや卒倒しかけたぞ。そしてなぜにそ
んなに打ち解けているのだ?
「あなたが来るまでに話し合っていたからではないでしょうか?」
と古泉、
「興味深いことを聞きましたよ」
とこの世界には存在しない学ランを着ている古泉'、どうでもいいがもう既に気分が優れ
んのだが?
台所ではW朝比奈さんがお茶について何か言っていた
「このお茶ってどこで買ってるの?」
と(おそらくだが)朝比奈'さん
「駅前のデパートのお茶売り場のおじさんが取り寄せてくれて…」
と朝比奈さん、本当にお茶のことだけスキルアップを果たしたお人だ。
…そろそろ説明に入って欲しいのだが?
「12月当初、私が行なった時空改変後あなたが居た世界の住民。その後あなたも知って
いる通りの出来事を通じて再改変を実行、その際私たち以外の全ての人物の記憶は完全に
上書きした、はずだった。しかし涼宮ハルヒへの記憶の上書きは完全ではなかった。その
改変後の世界のことは完全ではないが記憶に残っていた。」
あいも変わらず分らん。
「ここからは僕が、大丈夫ですさっき彼女に確かめたところおおむね合っているとのこと
でしたから。つまり涼宮さんはその時空改変後の世界のことを夢で見た。と思っているわ
けです、時空の再改変の終了し世界がまた回り始めたのはあなたが病院で目覚めた時と同
時間という話はしましたね?その時涼宮さんは眠っていました。いや、そういう設定を受
けていました、そのせいでしょう。そして最近イライラ度が増してきました。なぜSOS
団という不思議を捜すための団を作っても不思議や謎は夢の中にしか出てこないのかし
ら、とね。そしてこう思ってしまったのですよ「夢が現実になればいいのに」と。」
…つーことはなにか?あいつはこの世界じゃない世界を、つまり異世界まで作っちまいや
がったのか!?
どこまでもとんでもないやつだな。
「とんでもないってどういうことよ!」
お前には言ってないだろうが、しかし厄介だよな。さすがに、2人団長様が居ると…