Sleep desire 12/16





眠い、眠い、眠い!!!

静かな部室で俺と古泉の駒を置くおととパソコンのファンの音が部室中に広まる。

「どうかしましたか? あまり調子が良くなさそうな顔で」
「いや、ただの睡眠不足だ」

あぁ、疲れてるだけなんだ。 最近は色々雑用やらされてるしな・・・

「キョン、ちょっと」

団長席でパソコンを使っていたハルヒが立ち上がり部室から出て行った。
俺も呼ばれたようなのでついていくことに。

廊下を数十メートル歩いてゆき人気の無いところまできた。

「なんだ?こんな所までつれてきて」
「あんた最近元気なさすぎ、そのせいでSOS団全体が暗くなってんのよ?」

そうなのか、まったく気づかなかった。

「まぁ元気だすよ・・・ 出せるだけ・・・」
「今のあんたじゃ無理」

決め付けるな、俺だって頑張ればなんだって出来るのさ。
しかし腕を組んで怒った表情で俺を睨むハルヒは

「ちょっと外の空気吸いにいくわよ」
と言って再び歩き出した。

いってらっしゃ。 俺は元気もなく適当に手首を振っていた

「何言ってんの? あんたもついてくるのよ!?」

まぢか。




「はぁー、空気がおいしいわね・・・」

ハルヒに適当に振り回されながら俺はトボトボとついていった。

「ちょっと、キョン。 いい加減にしないと殴るわよ?」

殴ってくれ・・・ 眠い・・・ 眠気覚ましにはちょうどいいんだ・・・

「あんた・・・ 今日授業中ずっと寝てたじゃない・・・」
「そうなんだがな・・・ 眠くて・・・」

眠いなら寝るのが一番だ・・・ 

「そうでもないわよ、ほら入るわよ」
「え?」

ハルヒが指差す方向にあるのはいつもの喫茶店。

「たまにはあたしが奢ってあげるわよ」
「なんのつもりだ・・・」
「団員に娯楽をあげるのも団長の仕事の一つでしょ?」
「まぁ奢ってくれるのなら奢ってもらおう」

珍しいな、ハルヒが自分から奢るなんて言い出すとは・・・
しかしハルヒは俺を心配してるかのような表情で見てくる。



店内に入り席に座った俺とハルヒ

「ほら、好きなだけ注文しなさい!」

とりあえず飲み物とサンドイッチを注文した











「サンドイッチとコーラお持ちしました」






むしゃむしゃと食う俺はなんだか居心地が悪かった。
じぃーーーーっと 俺を睨むハルヒ

「なんだよ・・・ 何か言いたいのか?」
「あんたの元気がないからよ・・・ はっきり言ってこっちが困るのよ」
「なんでだよ・・・」
「なんてゆーか・・・ほら・・・ あんたが何もしないと暇なのよ・・・」
「俺も色々疲れてんだよ・・・」

こうしてる間も眠気が来てるんだよ。

「ほら、元気出しなさい」
「眠い・・・」
「元気出せ! 団長命令よ!」
「出せたら苦労しないんだよ・・・」
「あー、うざったいわね、早く食べて行くわよ!」
「わかった・・・」


俺は全力でサンドイッチを口に入れてコーラで流し込んだ
うっ・・・ 炭酸はキツイゼ・・・  腹が痛い・・・

ハルヒはレジで金を払って、ささっと店を出て行った。

「次はどうするんだー?」
「散歩よ散歩!」







冷たい風が頬に当たるのを感じながら俺とハルヒは二人で並木道を歩いていた。
まぁもっともハルヒは前の方で一人で突っ走ってるけど・・・

「遅い! キョン、早く歩きなさい!」

本当に・・・ 俺・・・ 今日はだめだ・・・ 頭痛いし・・・

バタンッ・・・

「えっ!? ちょっとキョン! 大丈夫!?」

前が見えない・・・ 目の前が真っ暗だ・・・ まぁ目瞑ってるだけなんだが・・・
ハルヒの声だけが聞える。

「キョン! ちょっと!」
「あぁ・・・ すまん・・・ 少し座らせてくれないか・・・?」
「肩貸してあげるから、ほら早く・・・」
「ごめんな・・・ ハルヒ・・・」
「なんで謝るのよ、ほら座って」

とりあえず俺は座ることに
辛い・・・ 体も・・・ 心も・・・     心? なんで心が?

「もう帰る? 顔色悪いわよ?」
「帰っていいぞ・・・  迷惑かけるわけにもいかないから、俺は置いてけ」
「バカじゃないの? 団長が団員を置いてくはずないでしょ?」
「すまないな・・・ 眠らせてもらっていいか・・・?」
「いいわよ、好きなだけ寝なさい」
「もし気が変わったらいつでも帰れよ・・・?」
「さっきも言ったじゃない、置いてかないって」

ハルヒの言葉が頼もしかった…

「あたしだって部下に休息ぐらいあげるわよ… おやすみキョン」















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ん… 暗い… 温かい…
…って!
ハルヒ… なんのつもりだ俺の膝枕なんかして…
だが気持ちいい… 当分このままにしてたいぐらいだ…

「あ? やっと起きたの?」

チッ… 寝たフリしようとしてたのにな…

「ほら、キョン」
「なんだ? UFOでも見つけたか?」
「ほら!空!」

とりあえず空を見上げてみた。
視点がまだうまく合わない…
目をゴシゴシと拭いてみると満点の星空が広がっていた。

真冬の星空。
とても綺麗に輝いていた星。

「あっ…」
ハルヒがそう呟いて手を広げた。

白い粒がチラチラと降ってきた。

「雪か…」
「そうね…」
「お前… いてくれたのか…」
「当たり前よ!」
「ありがとうな… ハルヒ…」
「寒くなってきたし帰らない?」
「寒いのか…」

俺はとりあえず着ていたブレイザーをハルヒにかけた。

「あんた寒いんじゃない?」
「ずっと側に居てくれたんだ、こんくらい気にすんな」
「そうね、やっと団員として役立つようになったわね」
「その代わりなんだが」
「何?」
「もうちょっと一緒に星空眺めないか?」
「私がいないとダメなの?」
「あぁ」
「ならしょうがないわね」

寒いのは確かだ。
だけど少しでもハルヒと一緒に居たい。
俺はハルヒが好きだ。
ハルヒが俺をどう思ってるかなんてしったこっちゃない。
何を言われようと俺はハルヒが好きなんだ。

「… なんか落ち着かないわ…」
「俺もだ…」

雪が降っているのに動かないため頭に少しずつ積もる。
隣りをチラ見したらなんだがハルヒはもじもじしていた。

「ハル…」「キョ…」

同時に喋ってしまった。
こうゆう状態が一番嫌いだ…

「あんたから話して…」
「お前から話せ…」

沈黙が続いた、ハルヒの決め言葉が出た。

「団長命令よ」

この言葉が出たら俺は反論出来なくなる…

「ハルヒ、なら俺から言う」
「うん… でもムード壊したら殺すからね…」

ムードってなんだよ…
しかし告白にはこれ以上に最高の状況は無いだろう。
しかも眠気が無くなった今、俺はハイだ。

「ハルヒが好きなんだよ、何言われようが俺はお前が好きだ」
「ふふん、付き合って欲しい?」
「その前にハルヒが話そうとした事を言え」
「忘れたもんねーだ」
「卑怯だぞ…」
「忘れたもんはしょうがないでしょ?」

まったく、自分勝手な団長様だこと…

「うぉっ!?」
「なによ? いやなの?」
「嫌じゃないさ… 逆に嬉しい」

ハルヒは腕を組んで俺の方の上に頭を置いてきた。
はぁー と息を吹いたら白くなる。

「キョン」
「なんだ?」
「好きだからね」

わかってるさ。

「フフッ、ならいいわよ」
「帰るか!」
「そっ」

俺とハルヒはそのままの状態で立上がり歩き出した。

「歩きずらいな…」
「文句あるの?」
「幸せだよ」
「私もよ」

うむむ… 寒いな…
雪も降ってるもんな、寒くない方がおかしい。

「ちょっと、震えてるわよ?」
「そりゃぁお前… こんだけ寒かったからな…」
「ならブレイザー返すわよ」
「それはいかん、お前が寒くなるだろうに」
「はっくしゅんっ」
「ほらみろ」
「今のは… わざとよ…」
「眠くなってきた…」
「はぁ? まだ寝たりないの?」
「うむ、寝たい」
「じゃぁ早く帰りましょ」
「っとっうぁっ!!」

今までにない派手なこけ方をした…
それをみてハルヒは

「ぷっ、あはははっははは!」 と爆笑
「わ、笑うな…」
「あっはっはっはは! はっはは、お腹痛いわ… あっはははっは! あんたバカじゃない
の!?」
笑うな… 俺はとんでもなく恥ずかしいのだ…
お前… そんなに爆笑しなくてもいいだろ…

「あっはははっは! あんな所で!」

俺は無視して早歩きで歩いて行った。

「キョン! ちょっと早いわよ!」
「ぁー 聞こえん」
「笑った事は謝るわよ! でもあんた本当にドヂね!」

俺は更にスピードを上げた。

「キョン! ごめん!置いてかないでー!」

まったく、しゃぁない、待ってやるよ。
とりあえず振り向いて待つ事に。
くるんっ… ちゅっ…



ちゅっ… って… 何!?

ちょうど振り向いた瞬間にハルヒが俺の所まで到着した。
しかもちょうど口の位置が同じ…

ハルヒはかなり驚いたようで目を全開している。
俺もかなりビビった…
ぐぁ… 更にハルヒが走って来た勢いで俺はそのまま押し倒された。

「うわぁっ!?」
「きゃぁぁぁ!」

どさっ…

そして再び倒れた勢いでキス…

すごいな… 二秒以下で二回キスしたぜ…
今回はハルヒは目を瞑っている。
さて、そろそろ離れないか?

「ひーや(いーや)」

背中には冷たいコンクリート。
腹には温かい愛する人。

一分程経ってからやっとハルヒは口を離した。

「うんっ、キョン! 大好きよ!」

何度も言わすな。

俺も、ハルヒが大好きだ。






ハルヒは満面の笑みで俺と手を繋いだ。

「もう眠くないでしょ?」


残念。
かなり眠い。

「じゃぁもう一回かな?」


望むところだ。