Shine hiding 11/24(金曜)公開





「ほらキョン」

「ん?なんだこれ?」

机でうつぶせになっていた俺にハルヒは何かを押しつける。


俺はその物を手に取って、目の前まで持ってくる?

「もっかい言うがなんだこれ?」


俺の目の前にある物は赤いリボンでラッピングされた箱。

「今日はバレンタインでしょ!?」


あぁわかってたさ、俺ら男どもがこの日を忘れるわけがない。

「いっとくけど義理よ、義理!」

「そうかい、ありがたくちょうだいします」

「何よ… その言い方…」

「いや、別に。 それより食っていいか?」

朝飯を食ってない俺にはかなりの回復アイテムだ。 本命だったら数倍回復力があるだろ
うに…
いやしかしハルヒなら毒を入れるかもしれない… まっ、どうでもいいがな。

「だめっ!家に帰ったら開けなさい!」

「いいだろ別に… どうせ義理だろ?」

「だめよ 学校で開けたら死刑だからね!」

なんだこいつの焦りよう…

「わかりましたよ…」




全男子につぐ

緊急事態だ

俺の鞄の中に一つ綺麗にラッピングした箱がある…

他の男子からのからかいか? よくあるパターンだ。

それとも本命か?義理か?

いや俺に本命は無いだろう…

とりあえずその箱を机に出してみた…

爆弾が入ってる可能性もあるな…

いや、その場合は長門が飛んで来るだろう…

後ろからズサズサと背中にシャー芯が刺さる…

「痛いんだが…」

「何?その箱…? もしかしてチョコ…?」

「可能性は高いな…」

「開けなさいよ…」

「なんでだよ… 後の楽しみとしてとっておく」
「早く!」

別に俺の自由だろ…?

「あんたに選択権は無いの!」

ハルヒが箱を取り上げた。

「お、おい、俺のだぞ!?」

「チョコなんてどうでもいいのよ! 本命か義理か! 送り主は誰か調べるだけよ!」

なんでこいつはこんなに必死なんだよ…



「あれ? 何これ?」

ハルヒの手には乱雑に破けた小さな箱と手紙を持っている。


「貸せ」

そんな俺の台詞は無になりハルヒは手紙を読み始めた。

「…」

「なんて書いてあるんだ?」


「まさか…ね…」

とハルヒは呟いて俺に箱と手紙を渡してきた。


ハルヒは席についてうつぶせになった。


俺は乱雑に引き裂かれた箱から普通のチョコを取りだし口に入れた。

「何々?」


今日、放課後に体育館裏に来てください。
別に来なくても構いません、大切な話があります。


名前は無し…か…

「おい、ハルヒ」

「何よ?」 いかにも不機嫌そうな声で

「来るなよ?」

「いくわけないじゃない、バカキョン」


バカキョンは余分だろ…
俺は、ぼーっとしながら男子どものソワソワ感を楽しんでいた。

俺は既に授業が始まる前に二つも獲得したからな、いい出だしだ。






そんなこんなで放課後。
ブルーな顔の男子、女子といちゃいちゃしてるうざったい男子、満足そうな男子 などを
見ながら俺は体育館裏についた。

そのには名もしらない女子が立っていた。

「来てくれたんですね」

「まぁな、でなんだ?」

「率直にいいます、あなたの事が好きです、付き合ってください!」と顔を真っ赤にして


はて、俺が告白されてるんだよな? 今

俺が? なぜ俺?

空気が死んでいる

名もしらぬ女子はうつむいている。


「あの、すいません。俺は…」

「好きな人がいるんですね?」


おらん… 人の話を最後まで聞いてくれ…

「いやそうじゃなく…」

「涼宮さんですか?」

だから話を聞いてくださいよ… この人もハルヒと同じタイプか…

「いやハルヒは…」

「やっぱりそうでしたか… すいませんこんな所まで呼び出して…」

話を聞け!

「いえ、違う…」

「本当にすいませんでした… 失礼します…」

「ちょ、ちょっと!」

既に彼女の姿は無かった…

「はぁ…」


そしてもう一つ言わなくてはいけないことがある。

「ハルヒ、いるんだろ?」


ジャリッと音がしてからタッタッタと走る音が聞こえた。

「逃げたか…」

俺は呆れながら部室に行く事にした。




部室に到着。

「お、遅かったじゃない、き、キョン」

こいつは…

朝比奈さんが俺の近くに来て小さな箱を渡してきた。

「こ、これどうぞ、手作りなんでおいしくないかもしれませんが…」


いえいえ、あなたのチョコならケアルガ以上の回復力を誇りますよ。


長門も近寄ってきて何もされていない箱を渡してきた。

「…上げる」

「二人ともありがとな」

さて長門のチョコ…

何か仕込まれてる可能性は無いだろうか?

場合によってはラストエリクサー並みの回復が出来るかもしれん…

逆の可能性もあるが…



「そういえば、古泉は?」

「なんかバイトだってさー」とハルヒが片肘を机につきながら俺を睨み答える…

「なんだよ…、言いたいことでもあるのか?」

「別に」

俺は椅子に座りハルヒの顔を眺めてみた。

「な、なんでこっち見んのよ…?」

「嫌か?」

「ふんっ勝手にしなさい」

と言ってハルヒはパソコンの方に目を向けた。



さかしどうしてめ気になるようでこちらをチラチラ見て来る。


「あんた…いい加減にやめなさいよ…」

「それが覗き見していたやつの態度か?」

「え?」と何かを編んでいた朝比奈さんの声が聞こえた。


長門も本ではなく、こちらに目を向ている。

「の、覗き見なんてしてないわよ!人違いでしょ!?」

「ふ〜ん、ならいいけどな」

俺は席を立った。

「キョン?どこいくの?」と心配そうな顔のハルヒ

「トイレに行ってくる」


俺は鞄のなかからハルヒからもらった箱を持って部室の外へ出た。

ペリペリと包装紙をめくった。

箱を開けると…

「なっ…」

ハート型のチョコと手紙が入っていた。


ハート型って… 義理だ…ろ…?


手紙には予想外の事が書いてあった…

『キョンへ
多分これを見ている頃には家にいると思います。
朝は義理だのなんだの言ってたけどあんなの照れ隠しなのよ。
まぁいつも迷惑かけてるしね! しょうがないから本命あげるわ!
でも、その代わり私と付き合いなさいよ? わかった!?

これからもよろしくね。
byハルヒ』




と書いてある…

まぢかよ… だったら最初っから言えばいいのに… ほんとこうゆうところは強がりだな



俺は部室に戻った

「遅かったわね」とハルヒ

「まぁな」

そろそろ暗くなってきたし帰りましょ。

長門も本を閉じた。





帰り道俺とハルヒ以外は皆ばらばらになった。



「キョン」

「なんだ?」

「私のチョコ、今日中に食べなさいよ?溶けちゃうから」

「ぁーそれは残念だ」

「?」

「実はお前のチョコは俺の腹の中で溶けた」

「! もしかしてあんた… 開けたの!?」

「まぁな」

「学校で開けるなって言ったじゃない…」

「どうしてだ?」

「どうしてって… 恥ずかしいから…」

俺は赤く染まるハルヒの顔を見ながら

「ありがとなっ」

「え?」と驚いたような顔で

「いやっ、嬉しかったからな!」

「そっ、手紙も読んだんでしょ?」

「うむ」

「いいわね?付き合いなさいよ?」

「あぁ、わかってるさ」

「よかった、キョン」

「なんだ?」

「大好きっ!」

俺は笑ってから「俺もだ」と









バレンタインデー

男女が結ばれる可能性が一番高い日。




俺はこの日に感謝する。

ハルヒ… ありがとう…