Perseverance 12/19




見慣れた部室。
紅蓮に輝いている空。
沈黙の空間。
不満気な団長の顔。
困る俺。


さて、何が言いたいのかというと
ハルヒが俺を睨んだまま微動だにしない。
しかも片手にはいつか映画の時に使ったマシンガン。
さっきから何度も質問したが帰って来る言葉はゼロ。
何がしたいんだ?まったくわからん…
そんな俺は机に向かいただひたすら宿題をやり続けていた。
むぅ、わからん…

「ハルヒ、頼みがあるんだが」
「…」
「聞いてんのか? さっきから無視しすぎだぞ」
「…」
「おーい」
「…」

無駄だったようだ。
今更だがもちろん部室には俺とハルヒ以外はいない。
頼むからこの空気だけはなんとかしてくれ…

「なぁ、ほんとすまなかったって…」

なぜ謝ってるのかって言うと。
昼飯の時にハルヒが一緒に食べようと誘って来たが俺は忘れていて
谷口と国木田と机を並べていた。

「謝る、本当にごめん」
「…」
「ハルヒ、頼むから機嫌を直してくれ」
「… ある…」

ハルヒがやっと口を開いた。

「何? よく聞こえなかったんだが」
「条件があるわ」
「なんだ? 出来るのならなんでもやる」
「夜御飯を奢りなさい、で、わたしと一緒に食べなさい」
「それでいいのか!?」
「いいわよ」

やっと光が見えた。
しかしハルヒの顔は変わらず不機嫌オーラをバンバン出していた。

「じゃぁ帰りましょう」
「そうだな」

俺は机の上にあった教材を鞄に投げ入れチャックを閉めた。

「何が食べたい? 和食? 中華? イタリアン?」
「そうね… イタリアンかしら」
「よっし、じゃぁイタリアン」
「6時30分に駅前ね、遅れたらわたしはあんたと一生、口をきかないから」

遅れると大変だな…

とりあえず家に帰ってきて私服に着替えてから黙想してみた。
さてこれからどうしようか。
どうゆう話をしようか…




30分前に駅前に到着。
まだハルヒは来ていない。


18分経過、

やっと団長様がおらした。
しかしどこかいつもと違った。
服だ。 なんかいつもよりかなり力が入った服装だった。
なかなか似合ってる…

「ほら、行くわよ!」
「ん? ぁ、あぁ」
「元気ないわね… もうちょっと男らしくしなさいよ!」

なぜだがハルヒが超機嫌が良くなった…
うむむ… 人間って不思議だな…

「今日は、たーんとご馳走してもらうからね! 覚悟しなさいよ!?」
「わかってる」

元は俺がまいた種だ、そんくらい責任もってやってやる。

「ここでいいわ」

見る限り外形はイタリアン系。
まぁそうだと思うが…

「キョンー! 早く入るわよ!」
ぉぅ

ハルヒが先に中に入店して俺が後からとぼとぼ歩いた
さて、いくらぐらい使うんだろうか・・・
恐る恐るして扉を開けた。






中に入ったら・・・
って、へ?
おかしいだろ? なぁ、ちょい待て。
どうゆうことだ?






見慣れた部室。
紅蓮に輝いている空。
沈黙の空間。
不満気な団長の顔。




間違えなくそこは部室だった。
夕方ぐらいに俺とハルヒが居た部室とまったく同じ状態だった。
しかも同じようにハルヒが俺を睨んだまま微動だにしない。
「おい、ハルヒ、これはどうゆうことだ・・・?」
「・・・」

また同じような状態だ。
ハルヒ、どう考えてもおかしいだろ?
なんで学生服に戻ってんだ?
意味わかんねぇよ・・・

「今まで俺たちは外にいたよな?」
「・・・知らない」

知ってるはずだ。 どうゆう事だ・・・

「今更冗談は止めろ」
「・・・」

また黙り込んだハルヒ
おかしいのは俺なのか? 時間が戻ってるんだよな?
何で?何のために?誰が?どうして?
脳の思考回路がフル活動しているのに結論が出せない。 当たり前か。

「なぁ、ハルヒそこまで怒らなくてもいいだろ?」
「・・・」

同じか。 ならもう一回

「わかった、俺が悪かったって。 謝る!この通りだ」
「… ある…」
「なんだ?条件か?」
「そう・・・」
「なんでも叶えてやるから」
「夜御飯を奢りなさい、で、わたしと一緒に食べなさい」

まったく同じだ。 どうゆう事なんだ?

「何がいい? 和食か?中華か?イタリアンか?」
「そうね… イタリアンかしら」
「じゃぁイタリアンだな」
「6時30分に駅前ね、遅れたらわたしはあんたと一生、口をきかないから」

集合時間も同じ。 イタリアンってのも同じ・・・
どうゆうことなんだよ・・・
















30分前に駅前に到着。
まだハルヒは来ていない。
また同じ時刻に家を出て駅前に到着した。

18分経過、

やっとハルヒがきた。

おなじ服装・・・ 同じ鞄、同じ顔・・・
変わらない・・・ なんでだ・・・?

「なんか顔色悪いわよ?」
「別に、気にするな」
「ほら、行くわよ!」
「あぁ」
「元気ないわね… もうちょっと男らしくしなさいよ!」

同じ台詞。 同じ怒り方。





「今日は、たーんとご馳走してもらうからね! 覚悟しなさいよ!?」
「わかってるさ、お前が満足するまで食え」
「わかってるじゃない」

わかるもなにも・・・ 
俺は同じ事を繰り返しているんだ
意味がわからずに、意味が無いのがわかっているのに。
ただ一つだけ、ハルヒの顔が少し赤っぽくなってた事に気づいた

「熱いのか?顔赤いぞ?」
「うるさいわね」
「今日は本当にごめんな・・・ 反省してるから」
「もうそんな事いいわよ」
「そうか、ならいいんだが」






「ここでいいわ」

俺の前に聳え立つのはまったく同じ店。
変わらない、まさかと思うけどまた・・・?

「先入ってるわよ」
「ちょい待て!」
「何?」
「一つだけ約束してくれ」
「約束?」
「中に入っても俺を忘れるな」
「はぁ? わけわかんないわよ」
「そ、そうか・・・」
「お先」
カランカラン・・・ がちゃ

一緒に入ればよかった・・・
まぁいい、忘れてないでくれよ・・・?

手が震えるのを確信しながらゆっくりと扉を開けた。

ギギギーーー・・・

この扉からは出るはずの無い音。
いつも聞きなれている部室の扉の音。





見慣れた部室。
紅蓮に輝いている空。
沈黙の空間。
不満気な団長の顔。


戻った・・・
気が狂いそうだ・・・
同じ、まったく変わらない・・・

「ハルヒ、俺のこと覚えてるよな? 今まで一緒にご飯食べに行こうとしてたよな? なぁ!」
「ったい・・・」

いつの間にかハルヒに近寄り両肩を掴んでいた
ハルヒの顔からは明らかに怒りと痛みの表情が浮かび上がっていた。

「なぁ、答えてくれよ・・・」
「痛い・・・ 離して、言ってることが意味わからない」
「すまん」

ハルヒから手を離して歩いている途中でグラッときた・・・
よく考えたら17時間ぐらい寝てない状態になっている・・・
飯も一日分ぐらい食っていない状態・・・
とりあえずパイプ椅子に座り頭をガンッ!と机にぶつけてみた
ハルヒの「え・・・」っと漏れたような声だけ少し聞えた。
変わっていない・・・ 何もかもが。
長門に電話するのもいい手だが・・・ 残念ながら携帯は現在故障中。
家に帰っても連絡を取ろう・・・

「ハルヒ・・・ 俺って・・・ いつもの俺か?」
意味がわからない質問だ。 俺が俺? 言ってる俺もわからない
「・・・そう」
長門のような台詞が帰ってきた。
もうだめだ・・・ 精神が持たない・・・
考えてるだけで気味が悪い・・・
こんな事を何百回、何千回も繰り返さないといけないのか・・・
どうすればいいんだ・・・ ハルヒ・・・