Light in darkness 12/2(土曜)






とても寒い12月後半
だがこんなものを寒いなどと言っていたら北陸地方の方々は死にそうなぐらい寒いだろうに…
だが寒いものは寒い。
頼みの綱の電子ヒーターは我らの団長の手におちた。

くそぅ… ハルヒめ… 一人だけ暖まりやがって…

俺はハルヒに聞こえないぐらいの音量で

「なぁ長門」
「…何?」 いつも通りの返事が返ってきた。
「この部屋の中の気温を上げれないか?」
「不可能ではない」
「頼めるか?」
「えぇ、まかせて」

長門の口が高速で動く。

どんどんと室内の気温が上がっていく… ?

「ちょっと暑すぎないか…?」
「…そう」

おぉ少し下がった。
ちょうどいい感じの気温で止まった。
どうやらハルヒも室内の気温上昇に気付いたらしくヒーターを軽く蹴り飛ばした。

「さすがだな、長門」
「…別に」



部屋には俺と長門とハルヒしかいない…
朝比奈さんと古泉は欠席のようだ。
古泉… まさか朝比奈さんと二人でデートとかしてないよな?
もし、しているのなら俺は間違いなくアサルトライフルで古泉を打ち抜くね。




長門はいつも通りハードカバーを読んでいる。

ハルヒは… なにやってんだ?あいつは…


「おい、ハルヒ」
「なによ、今忙しいんだから話かけないで!」
「はいはい…」


あれは… マフラーか? いように長いんだが…
しかしハルヒはそんなけとお構いなしにすごいスピードでマフラーを編んでいる。
本当に長いな・・・
しかし寒いよな・・・  外は雪がチラチラと降っている
外では、はしゃぐ女子たちの声がキャーキャー聞える
まったく・・・ なんでそんなに元気があるんだよ・・・
今元気がでるならば俺は多分お金払うね
だが財布も実際寒いから少ししか出せないけどね。


黒板には夏の合宿の水着姿の俺たちの写真が飾られている。
よく寒くないよな・・・ お前ら・・・
水着姿の我が団の女性達はそりゃ輝いて見える・・・
ほんと、これでも幸せな方なのかもしれないな・・・
しかし俺は雑用だもんな、今までの荷物持ち、カメラ係などなどをやらされてきた・・・
だがまぁ楽しかったもんな、何かを得るためには何かを出さないといけない、とゆうのがこの世の法則だ
実際外にいる人々は寒さを我慢して楽しさを得ている。
まぁ俺には関係なくどーでもいい話なんだがな・・・


何もやること無いな・・・
眠たい・・・ 昨日夜遅くまでDVD見てたからな・・・

「ふぁぁぁ〜〜」

そう声を出したらハルヒは

「眠たいんだったら寝たら? 睡眠不足は体によくないわよ」
「じゃあ寝させてもらう」
「そっ、時間になったら起こしてあげるわ」

なんだか今日のハルヒは優しいな・・・

「けど後でバイト料もらうからね?」

優しくなかった、しかもバイトは雇った覚えは無い
やっぱこいつはだめだ・・・ 頼った俺がバカだった。

「何よその目・・・」
「バイト料は払わないからな、なんなら携帯でアラームかけておく」
「バカキョン・・・」

バカ言うな、これでも最近は成績アップしてんだぞ? 


ハルヒのおかげだがな・・・

俺は携帯にアラームをかけて寝ることにした































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「きな、、ばか、、、ン!」

んぁ? 誰だよまったく・・・  まだ起きる気は無いぞ・・・

「おきなさいよバカキョン!」

目を少しだけ開けてみるとそこには団長様が腕を組んでいた

「バイト雇ったつもりは無いぞ・・・」
「そんなもんいいわよ別に、ほら早く帰るわよ」

帰る? いま何時なんだ?

「もう6時半よ! とっとと起きなさい」

そういうとハルヒは俺の背中をバシッと叩いた

痛い・・・  寒いから威力が1.5倍ぐらいになってるぞ・・・

窓の外を眺めたが雪はまだ降っているようだ
さすがにキャーキャー言う声も消えて静かな闇が広がっている

「雪・・・だな・・・」
「ほら寒いから早く帰るわよ」
「・・・・」
「何よ、黙り込んじゃって」
「なんか景色に吸い込まれそうな感じだ・・・」
「何バカのこと言ってんのよ」
「お前にはわからないか〜」
「うるさいっ」

本当に綺麗な闇だ・・・  その中に少しだけ白が混ざる・・・

俺は席から立って鞄を持ち帰る準備をした。
長門どうやら既に帰ったようだ。

「なんで起こしてくれたんだ? 別にいいのに」
「団員を置いてけぼりなんて団長しっかくだしね」
「団長か・・・ なぁハルヒ、SOS団が無かったら今頃何してると思う?」
「何よいきなり、まぁ家でゴロゴロしてるか一人で市内探索してたかもね」
「SOS団があってよかったか?」
「当たり前じゃない。 もしかしてキョンは嫌なの?」
「嫌じゃないさ、俺も良かったと思ってる」
「ならいいじゃない、ほらどんどん気温下がるから行くわよ」


ハルヒと俺は部室の外へ出た

「うぉぉぉ、寒い・・・ 死ぬって!」
「バカね、こんくらいどうってことないわ」

そりゃ・・・な・・・ お前もろにダウン着てるしな・・・
俺なんてブレイザーの上に何も着てなんだぞ?
こんな寒い中着て来ない俺も俺だがな・・・

「ほら、ちょっと来なさい」

俺はハルヒの近くに寄っていくとハルヒは首にかかった長いマフラーを俺の首にも巻いた

「寒いんでしょ?」
「寒いけどお前・・・ これ恥かしいぞ・・・」
「じゃあ取るわよ」
「無いよりはましだ・・・」

マフラー1つでここまで寒さがしのげるのか・・・

しかしこれはたんに恥かしいとゆうだけの体温上昇にすぎないがな

ハルヒも少し頬を赤くしている。

「どうしたハルヒ、熱いいのか?顔赤いぞ?」
「いちいちうっさいわね・・・」
「そうかい」

外へ出るとさらに寒くなった

「寒すぎだろ・・・」
「雪降ってるわね・・・」

ハルヒは傘(多分職員用)を広げて差した

「ほら、もっと近寄りなさいよ雪があたるわよ?」
「ん? 雪が当たったほうがいいと思うが・・・」
「なんでよ? 雪当たると冷たいから嫌じゃない」
「知ってるか? 雪上の女性は3倍程可愛く見えるんだぞ?」

ふざけ半分で言ってみたが

「なななな、何よ・・・ 私が・・・?」

本気にしたか・・・ まぁいっか

「そうだよ、ハルヒが」
「な、なら傘差さないで上げるわよ・・・」
「嫌じゃないのか?」
「キョンの頼みだもん、聞いてあげるわよ」

頼んだ覚えは1mmもないはずなんだが・・・
しかもハルヒ・・・ 顔真っ赤だぞ?

「うるさいっ! 黙ってなさいよ!」

まったく・・・


俺とハルヒは同じマフラーをしながら坂道を下っていった

「そういえばこのマフラーって部室で編んでいたやつか?」
「そうよ、このために、、じゃなくて欲しかったから急いで編んだの」
「そうかい」

このため・・・ か・・・  どうりで長いわけだ

「なにニヤけてるのよ・・・」
「ありがとな」
「なんでお礼言われなきゃいけないのよ? 私のために作っただけなのに」


チラチラと降る雪の中で俺とハルヒはただ単に歩いていた
闇の中で唯一光を持つのは電灯
本当に綺麗な闇だ・・・
こんな景色を見たのは久しぶりかもしれない
しかしその中で真っ赤な顔のハルヒも目立つ・・・

「お前大丈夫か? ほんとにかおがあ、、、」
「キョン・・・」

最後まで喋らせてくれよ・・・

「なんだよ?」
「キョンはさ、みくるちゃんの事が好きなんでしょ?」
「誰がそんな事言った」
「だってあんたいっつも私がみくるちゃんに何かする時庇うじゃない」
「そうだっけか?」
「そうよ・・・ いつも、いつも・・・」
「でも朝比奈さんは好きってわけじゃないな」
「え?」
「そうゆう恋愛感情じゃないってことだ」
「そうなの?」
「そうだ」
「キョンがみくるちゃんを庇うときはなんだか嫉妬した・・・」
「なんでだよっ」
「あたりまえじゃない・・・ 私も何かしてほしかった・・・」

まさかハルヒがいきなりこんな話をするなんて思ってもいなかった
あのハルヒが・・・ 唯我独尊のハルヒが・・・

「でもその割には俺にはよく雑用させるよなー?」
「っえ? そんなつもりは無いけど・・・」

いやいや、九割、いや十割は俺だけど?

「・・・ごめんね」

ハルヒの口から謝罪の言葉!?
本当に大丈夫か?

「バカ・・・」
「寒くなってきたな・・・」
「そうね、特に手が」

特にってなんだよ。
まるで手を繋いでって言ってるようじゃないか

「バカキョン!!」


だからバカ言うな。

俺は空中でただふらついてるだけのハルヒの小さな手を取った

「え?」 とハルヒから小さく声が漏れた

「寒いんだろ? 俺も手が寒いからな」

ハルヒが驚いたような顔でこちらを見ている
そんなに驚かなくてもいいだろ・・・

「ま、まぁいいわ、無いよりは暖かいし」

お前の顔は異常なほど真っ赤だが・・・

「あんただってそうよ?」

まぢかよ・・・

「やっぱ寒いわよ・・・」

そうハルヒが言うと次は腕を組んできた

「なんのつもりだ」
「あんたが引き寄せてるだけじゃない、私の行動じゃないからね」

引き寄せてない、磁石でも埋め込んであるのか?

「ホント鈍感ね・・・」

本人の前で鈍感って言う人初めて見たぞ・・・
鈍感・・・ か・・・

「ハルヒ・・・」
「なによ?」
「俺はなんだ?」
「はぁ?」 とハルヒは呆れたような顔でこちらを見る
「俺はハルヒにとってなんだ?」

こんな質問する俺も可笑しいけどな

「そうね・・・ 大切な人かな?」
「大切・・・か・・・  どれくらい?」
「そうねー、アメーバくらい」
「どんだけちっさいんだよ」
「嘘ようーそ、多分この世で一番大切な人」
「一番? またご冗談を」
「冗談なわけ無いじゃない! あんたが私を惚れさせたのよ!?」



ハルヒは「しまった・・・」とゆうような顔をしてる
そして俺は頭の思考回路をフルに活用させて隠しの中の隠しファイルを探している




「ほれ・・・・たのか・・・?」

ハルヒは決心したような声で

「そうよ! あんたがっ!私を!」
「いつからだ?」
「夏合宿ぐらいからかな・・・? あの時崖から落ちたことあったじゃない」

懐かしい話だな・・・
あん時はただ女性を庇わないといけないとゆう理屈で助けただけだ

「あん時からね・・・ キョンがとにかくかっこよく見えたから・・・」
「俺が・・・・・ かっこいい?」

ハルヒは無言で頷いた


顔を真っ赤にして




「あ、あんたはどうなのよ・・・?」
「俺か? ハルヒは・・・」

ハルヒの目は綺麗な色で期待を感じさせた

「好きだよ、ハルヒ」
「みくるちゃんよりも有希よりも?」
「あぁ、ハルヒが一番好きだ」
「恋愛感情で?」
「そうだ」
「絶対に?」
「絶対」









ハルヒは髪をはらって満面の笑みになった。

「そっ、可愛い団員の頼みなら付き合ってあげるわよ?」
「じゃぁ頼む」

「その代わり」





「私の側にずっと居るのよ・・・? もし離れたら・・・ 許さないからね・・・」


あたりまえだ・・・












闇の世界の中に電灯以外に輝かせるものがもう一つあった。
闇よりも綺麗な、電灯よりも輝く、彼女が・・・