涼宮ハルヒの幸福8 12/14



大学に入学してから既に二ヶ月が経過していた。
まぁ一様友達もある程度作ったつもりだ。  まぁ周りからかかる声は・・・ てか第一声がこれなんだよ・・・

「涼宮ってお前の彼女?」

皆これだ・・・    まぁこの会話のおかげで何人も友達が作れたんだがな・・・

ハルヒの女子や男子からの人気が急上昇。  既に会話の中心だった。
変わったな・・・ 本当に・・・
まぁ悲しいわけじゃないさ、ハルヒとならいつでも会話できる。

だけど・・・ 忘れられない、病院での出来事が・・・
俺にもタイマーがついているんだ・・・ きっと・・・







俺の隣の席にはハルヒがいる。

「ハルヒ、今日… 一緒にどっかいかないか…?」

なんだかそんな気分だった。
少しでもハルヒと一緒に居たい気分だった。
いつか・・・ あえなくなるんだから・・・

「いいわよ? どこいく?」

ハルヒは机に肩肘つきながら俺の方を見た。

「誘っといてなんだが何処行きたい?」

俺は何処行くかなんて、まったく考えてませんでした。

「キョンのいる所なら何処でもいいわよ」

嬉しい事言ってくれるじゃないか。
今すぐ抱き締めたかったが周りに人がいるので止めておいた。

「なぁ」
「何?」
「結構髪伸びたな」
「そう?」

ぁぁ、初めてハルヒと会った時ぐらいあるぞ?

「そんな昔の事なんて覚えてないわよ…」

覚えてて欲しかったな…
初めて会った日の事ぐらい…

「嘘よ、うーそ! 忘れるわけないじゃない」

ならよかった。
ハルヒは俺に一発ウィンクをかました。
やべ… 可愛すぎる… 多分、K1の選手でもノックダウンするだろうに。

「なに? ウィンクが気に入ったの?」

うむ。






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授業が終わりハルヒと一緒に下校することに。
手を繋いで。


「でっ、これから何処行くの?」
「んー、映画でも行くか!」

地下鉄に乗り映画館まで行くことに。











到着。
いつの間にかポニーテールにしていたハルヒ。
くそ… 反則だ… これにウィンクをプラスされたら俺は…

ハルヒはこっちを見て笑みの状態からウィンクしてきた。

なぜかその場でハルヒを抱き締めた俺。
よかった… 人があんましいなくて…

「ちょ、ちょっとキョン! どうしたの!?」
「ぁっ、すまん」
「べ、べつにいいけどさ…」

ハルヒは頬を染めて上目遣いで俺を見てくる…
正直、今ここでハルヒと…

まぁいいや、とりあえず映画を見よう。

「どれにするか…」
「これ!」

ハルヒが指さした映画のポスターは今流行の恋愛ものだ。
テレビでもかなり評判が良くて、かなり感動するらしい。



















映画が終わり、客は上映場から出ていった。
9割が泣きながら…

俺も結構涙出て来たかな?
隣りのお嬢さんは号泣。

「ほら、泣くなよ」
「…ぅぅ…ぁぁぁん…んぐぅ…」

かなり感動したようだ。

「だって、だってだって、キョンが…ぅぅ…もしあんなふうになったら…ぅぅぅぁぁ…」
「大丈夫だ、お前が願ってる限りならない」

映画の内容は熱々のカップルの彼氏の方が死んでしまうものだった。
評判が良いのもわかる、うん。

「キョン、キョン、ぅぅぅぁぁ…」
「まったく、世話かかるやつだな…」
「ぅるさぃ… あたし… キョン大好きよ…」

了解。












映画館を出た俺とハルヒは次に行く場所に悩んでいた。

「あっ、そいだ」
とハルヒは何かを思い出したかのように。

「カラオケ行かない?」

ナイスアイディア。







とゆう事でカラオケ到着。

そしてハルヒがいきなり熱唱。
そこらへんの歌手よりは数百倍上手いだろうに…

「ほーら、キョンも早く!」
「おっし」






俺は幸せな時を刻んでいた。
幸せだよな。 絶対に!










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次の日の朝。
なんだか… ダルい…
頭痛いし… 吐気がする…

体温計を脇にはさんで数十秒待った。

ピピピピー

えっと? 39.5°…
親が心配そうに今日は大学休みなさいと言うので休んだ。
本当は今の時間を大切にしたかった・・・
無駄な時間を過ごしたくなかった・・・



ハルヒに報告した所、今日は授業受けなくてもいいらしく家に来てくれるそうだ。
俺は遠慮したがハルヒは聞く耳を持たず電話を切った。
だが嬉しいんだな・・・ これが。







ピーンポーン。

「はーい」とゆうお袋の声が聞こえた。

その後、少し会話してたようだが聞きとれなかった。
多分ハルヒだろうな…


ガチャッ。
俺の部屋の扉が開いた。
もちろん入ってきたのはハルヒ。

「大丈夫?」と心配そうに。
「あぁ、なんとかな…」
「あんまり無茶したら駄目よ?」
「わかってらぁ〜 それより今日は大学いいのか?」
「単位取れてるしいいわよ」

さすがエリート…

「今日は看病してあげるわ」
「えっ、移したら悪いし…」
「はぁ?あんたは昔っから変わらないわね… 少しぐらいあたしに頼りなさい!」

真剣な顔でハルヒはこちらを見てきたので言葉が返せなかった。

「まぁ、あんたと会話しないと落ち着かないからね」
「俺もだ」

その後、わいわいと喋ってお袋がハルヒの昼飯を作ったとゆうことなのでハルヒは一度台所に向かった。


俺の望む未来ってどんな感じだろうな。
ハルヒと結婚して… 子供作って… 幸せな家庭を築きたい…
そのための苦なら俺は喜んで立ち向かう。
ハルヒと一緒にいれるなら俺は…
でも・・・ 俺は・・・ いづれか・・・

「ゴホゴホ…」








「キョーン、生きてる?」

ハルヒが戻ってきた。
てゆーか、死んでるとでも思ったのか…?

「バカ… あんたが死んだらあたしは…」
「死なないから安心しろ」

俺が死んだらどれだけの人が悲しむのかな?
縁起でもない… 考えるのは止めよう。

「あっ、それよりお粥作ってきてあげたわ、感謝しなさい!」

ハルヒに甘えようか?
うん、そうしよう。

「あーん」
「自分で食べる気は無いの?」
「さっきハルヒが頼りなさいって言ったんだろ?」
「そうだったわね、ほら」






























お粥を全て食べさせてもらい、またハルヒと会話し始めた。
色々話した・・・

「早く風邪治しなさいよ?」
「あぁ・・・」
「まったく・・・ あんたがいないとこっちが寂しいんだからね?」
「俺だってそうだ、多分お前が来てくれなかったら死んでたよ」
「バカね・・・」

ハルヒはそっと俺の手を掴んだ。
とても温かい・・・

「風邪が治ったらまた二人で何処か行こう!」
「そうだな・・・ また・・・」
「どうしたのよ?」
「寂しいよな・・・」
「ぇ?」
「ハルヒが来てくれなかったら・・・ 俺は・・・ こんなにも元気出なかったかもな・・・」
「?」
「ごめんな・・・ ハルヒ・・・」


俺って。 なんなんだろう。
ハルヒにまで迷惑をかけて。
しかもまだハルヒには言えない・・・ 俺がどんな状況なのか・・・ 怖くて・・・
もう捨てられるんじゃないかって・・・ 思ってしまう・・・ そんなのは嫌なんだ・・・
少しでも一緒にいたいのに・・・ お別れは絶対にしたくないんだ・・・
俺の命が尽きても、ハルヒには俺のことを思っててほしいんだ・・・
弱い人間なんだよ・・・ 俺は・・・
一人じゃ立てない。 弱い人間。

「なに深刻そうな顔してんのよ?」

ハルヒに心配をかけて

「ちょっと、キョン!」

俺は何も出来ないのか・・・

「なぁ・・・」
「何?」
「俺って・・・」

ハルヒの頭上には『?』が見えるような気がする。

「頼りないよな・・・」

人間は不思議な生き物だ

「はぁ?何言ってんのよ?」

理由がわからない

「えっ!?ちょっと! キョン!?」

涙が出る理由が・・・

「大丈夫!? どこか痛いの?」
「俺は、俺は、俺は!! お前に・・・ 何も出来ない・・・」
「わけわかんないわよ?」
「ハルヒに高校の時から今までずっと迷惑かけてるのに俺は何の恩返しも出来ない!!」
「恩返し・・・?」
「今だってそうだ・・・ 看病してもらってるのに・・・」
「・・・」
「俺は・・・ どうすればいいんだ・・・」
「あんた・・・ そんな事考えてたの・・・?」

ずっと、ずっと前から考えていた。
ハルヒは俺に楽しいことを何度も何度も味あわせてくれたのに俺は・・・
ベットで寝てることぐらいしか出来ない・・・

「俺なんか・・・ いないほうがいいのかな・・・」

そのほうがいいのかもしれない・・・
もう俺は死ぬかもしれないのに・・・
逆に迷惑だけかけるかもしれない・・・
それなら・・・ 俺は・・・


『パァーンッ』
ハルヒは怒りの表情で俺の頬にビンタを食らわした・・・
さらに俺の頭を抱きかかえて。

「あんたバカじゃないの!? いないほうがいい!? ふざけないで!」

俺はただ驚いていた・・・

「もしあんたがいなかったら、あたしはどうなるのよ!?」

もっと幸せだったかもしれない・・・ 俺より上の男と付き合っていて・・・

「本気で言ってるの!?」

本気だ・・・   もしかしたら幸せを感じていたのは俺だけなのかもしれない
ハルヒはもう俺にうんざりしてるんだろ・・・?

俺の頬に一粒の雫が落ちてきた。
温かいその雫が頬を滑って口の辺りまで来た。
塩辛い・・・ 涙のような味・・・ 俺のではない・・・

「あんたしか・・・ あたしを幸せに出来ない・・・」
「俺は・・・ 何も・・・」

ハルヒは更に強く俺の頭を胸に押し付けた。

「お願いだから! お願いだから! そんな事言わないでよ・・・!」
「だけど・・・」
「あたしは幸せ・・・! もしあんたがいないくなったら・・・ どうすればいいのよ・・・」






俺は全力で泣いた。
ハルヒの胸の中で。


「ぅぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ・・・!!! 俺は・・・何かお礼がしたいんだよ! ぁぁぁぁぁ!!」
「お礼なんていいわよ・・・! あたしだって今まであんたにどれだけ感謝してるとおもってんの!?」

俺は・・・ 何もしてない・・・ 一人で・・・ 何も出来ない・・・

「バカ!! 一人で悩みを持ってるのがカッコイイとでも思ってんの!? 今のあんたはかっこ悪い! 最悪よ!」

なんとでも言ってくれ・・・
もう俺だって長くないんだ・・・
その前に一つでもお礼がしたいんだ・・・
いつ尽きるかわからない命なんだ・・・

「キョン!! お礼なんて・・・ 『ありがとう』だけで十分よ!」


なんだよ・・・ この感じ・・・
ハルヒが俺よりも・・・ 何もかもが大きく見える・・・

「ありがとう・・・ハルヒ・・・ ありがと・・・ こんな言葉だけじゃ足りないぐらい感謝してる・・・」
「それでいいのよ・・・」
「ぅぁぁぁぁぁぁああああああ!!!」





























気が済むまで泣いた。
体の水分が全て消えるぐらいに泣いた。
ハルヒの顔もまともに見ずに・・・ 近所に聞えるぐらいの大声で。

「キョン・・・ あたしは・・・ 今のままがいいのよ・・・」
「あぁ・・・ 俺は何か勘違いしてたかもしれない・・・」
「勘違い?」
「俺なんて人の役に立てない、ただの甘えたがりや・・・」
「バカ・・・ そんなわけないじゃない・・・」
「ありがとう・・・ 本当に・・・」
「ぅっぐ・・・ キョン・・・ ぅぁぁ・・・」
「お前に涙は似合わないぞ?」
「うるさいわよ・・・ 見たら殺すからね・・・ ぅぁぁぁぁぁぁぁぁん」





俺は、ハルヒに頭を抱きかかえられたまま、ハルヒの泣き声を聞きながらずっと床を向いていた。
俺だけじゃない・・・ ハルヒも弱い人間なんだ・・・ きっと・・・

お互いが助け合うのが一番いいんだ・・・

一人がいなくなれば・・・ どちらでも倒れる。

俺は、バカだ・・・

人の気もしらずに喋り続ける・・・ 俺は・・・









ハルヒは俺の名前を呼んだりしながら泣き続けている。
いつまでも付き合ってやるさ。


そしてやっとハルヒは胸から俺を離した。
その勢いのままハルヒは俺を引き付けてキスをしてきた。
俺はハルヒの腰に手を回して何度も何度も同じ行為を繰り返した。








































そして気づけば外は暗くなりそろそろハルヒは帰る時間だぞ?

「バカ・・・  ムードぶち壊しじゃない・・・」

悪かったな・・・

「言っておくけどあんたが彼氏じゃなかったら今あたしは生きてないわ」
「同じく、だ」

ハルヒはフフフッと笑って荷物も持たずに下の階に下りていった。
何する気だ? おい?
だがまぁ、お互いの信頼関係をより深くした今日だが・・・
なんだかなぁ・・・ 嫌な予感がするんだよなぁ・・・
ハルヒが早とちりしなければいいんだが・・・

ダッダダダダダッダダダダ!!!

廊下を欠け走る音が聞える・・・

バァーンッッ!!

それは部室のドアじゃないんだよ・・・ もうちょい大切に扱え・・・

「キョン! 朗報よ!」

その朗報が、高校時代はどれだけ嫌な報告だったか・・・ 朗報なんだな?

「キョンのお母さんが結婚を許可してくれたわ!」

この空間が、いや、全世界が沈黙した。

ハルヒはムスッとしたような顔で腕を組んで
「何よ?嬉しくないの?」

そんなことあるはずが無いんだ
お袋は俺の事を知ってるはずだ。
なのになんで・・・?  ただハルヒを悲しませるだけじゃないか・・・
そんなに長くは無いんだろ?


「その報告は本当なのか?」
「本当っ! あたしは嘘はつかないわ!」


まぁ、もちろん朗報なんだが・・・
いや、絶対に何かの間違いだ・・・
少し時間をくれ。

「もうちょっと後にしないか?」

「なんでよ・・・」
「もうちょっと互いを知り合ってからにしよう」
「もうあんたの事なんてけつの穴から髪の先端まで全て知り尽くしてるわ!」
「いやそうじゃなくて・・・」
「嫌なの?」
「じゃぁ・・・ お互いがもっと愛し合ってからにしよう」
「はぁー?」 と気合の無い返事が返ってきた。
「大学卒業してからでも遅くないだろ?」
「まぁ・・・ そうね・・・」

一件落着。

「でも」
「なんだ?」
「やっぱりいいわ、それよりもう一つ朗報!」

次はなんだ?

「今日はキョンの家に泊まるわ!」




多分、半径3km以内で事件が発生した。


ってのは冗談で。 事件ってゆうより何か嬉しいことがおきただろう。
かなり嬉しいんだ・・・ 本当は・・・ でも・・・ 俺は・・・

「いいのか・・・?」
「もう少しぐらい嬉しそうにしたら?」
「十分嬉しいさ・・・」
「それよりあんた、熱は引いたの?」



ピピピピッ



ドキドキしながら脇から体温計を抜いた。

「36,8° 大丈夫だろう」

驚異的な回復だな・・・

「じゃぁ明日はデートね」

嬉しそうな満面の笑みのハルヒ。
やっぱり俺は・・・   今の生活が好きだ。

「生活だけ?」








お前もだよ。 大好きだ。

「そっ、ならいいわ」








だけど・・・
もうわからないんだ・・・  どうすればいいのかも・・・
ハルヒを悲しませたくないんだ・・・

そんなこと思ってると再び涙が出来てきた・・・
ハルヒは優しく俺を抱いてくれた・・・
なんでここまでしてくれるんだよ・・・
本当の事を・・・ 言うべきなのか・・・?

でも・・・ 俺はまだハルヒと一緒にいたいんだ・・・




































まぁ、こんな所で言う話じゃないんだが。
同じベットで寝たさ。 家族にばれないように色々やってな。
俺もハルヒも互いに好きなんだ。 別にいいだろう?




いつ終わるかわからない

俺とハルヒの幸福の時間。


まだ始まったばかりなんだ。


終わらせたくない・・・ 


なんで俺が・・・ 

嫌だ・・・

ハルヒと別れることが・・・