涼宮ハルヒの幸福7 12/16




「さぁ、行くわよ」


朝があまり起きれない俺がなぜ起きれるのか…


人生でもっとも大切な日だからな。





大学受験だ。


これで俺とハルヒの今後が変わる…
だから俺は今日まで頑張ったんだ。

ラストスパートなんてハルヒが泊まりがけで勉強を教えてくれたんだ…
期待に答えないとな…



「キョン? どうしたの?」

どうしたもこうしたもないぞ…

「緊張しすぎじゃない…?」

人生で今日ほど緊張する日は無い。
ぁーもう…

「ほら、リラックス、リラックス」

出来るかっ

「あんたね… これじゃぁ全力出せないわよ?」

確かにな… これで落ちたら泣くぞ…

「ほぐす方法教えてあげようか?」
「あぁ… 是非」

チュッ…

「どう?」 と満面の笑みのハルヒ

どう? じゃないっ… 逆に緊張してきた… ぁっ?
あれ? 不思議だな… なんか気が楽だ。

ハルヒは得意気な顔で
「ふっふーん、少しは楽になった?」
「あ、あぁ… なんか体が楽だ」
「まだ足りない?」
「十分です」

まったくなぁ… 突然すぎるんだよ…
少しは準備時間をくれ…

「ついたわよ」

俺とハルヒの目の前には高々といかにも古そうな校舎が突っ立ってた。
んむむ… また緊張してきた…

「キョン…? 顔がやばいわよ…?」

まぢかっ…
直せん…

「もう一回しようか?」

いやいや… 周りは人だらけですよ…
どうしてハルヒはそんなに楽そうなんだん…

「余裕じゃない」
「すまんな…」
「べ、別にいいわよ… 言ったでしょ? わたしはキョンのいる大学に行きたいのよ」

本当に嬉しかった。

俺は最終的にハルヒの実力で行けるところの一つ下が限界だった。
ハルヒはやたらと俺を気にかけていたようだ。
俺が落ち込んでいるとハルヒはずっと励ましてくれた。
そして俺は何度もハルヒに謝った。

「そうだっけ?」

人のモノグローグに勝手に入らないでください。

だが俺も頑張ったんだ。
前の志望校なんて勉強しなくても入れるぐらいの実力がついた。
高校の担任もかなり驚いていたようだ。 なめるなよ?

しかしその代わりハルヒは色々ともめたらしい。
ごめんな…



「受けるからには合格しなさいよ?」
「わかってる」

そのつもりだ。
もし不合格なら死ぬ覚悟もしてるさ。






余談だが実はこの会場に長門と古泉もいる。
まぁ当たり前と言えば当たり前だが…

「えっとわたしはー D‐21ね」
「俺は… C‐21…」

なんとなく予想してたけどね…
つまり俺とハルヒは隣り同士だ。

「ラッキーね、これで合格率が50%は上がるわよ?」

そりゃ嬉しいな。





周りが静に勉強してもらっている中で俺はハルヒに最終確認させられている。

その余裕を少し分けてくれ…

「よしっ、一緒に合格しましょう!」
「おぅよ!」











試験が開始した。


最初は外国語。

なんか… ハルヒが教えてくれた所ばかり出てるんですが…
さすが…、 と言うべきか…?

スラスラ解けるぜ!
今の俺ならRPGゲームのラスボスでも一人で倒せそうだ!









「終了! ペンを置いて解答用紙を後ろから回してください」

なかなか簡単だった。
9割ぐらい合っててもおかしくないだろう?

「どうだった?」 と小声でハルヒ
「結構出来たぞ」
「やるじゃない、次もその調子よ?」
「わかってる」


次はー 数学か…
苦手なんだよなぁ…



「始め!」

試験管よ、五月蠅いぞ。
そんな大声だされたらやる気が45%減だ。

とか思いつつ裏側だった問題用紙をひっくり返すと。

何っ!?
これって確か… やったことがある…
しかも全部… なんだったかな…



そうだ! 『ハルヒ特製スーパーテスト』だ!
しかも数字も図形もまったく変わらないままプリントされている。

ハルヒ… お前すごいよ…







「終了! ーっーーーっーーーっー!」

だから五月蠅い…

ハルヒが笑顔で話しかけて来た
「ねね、気付いた!?」
「まったく同じだったな」
「わたしって予知能力があるのかな!? すごいと思わない?」

お前はそれ以上にすごい能力を持ってるんですがね…

「これなら次も行けそう?」
「あぁ」
「頑張ってね」
ハルヒはそう言って一度俺の手を握った。

恥ずかしいんだよなぁ…
まったく… 恥ずかしいんだよ…














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ふぃっ… 終わったぜ…
後は結果を待つ事しかないな…

「お疲れ様、キョン!」
「あぁ… 疲れた…」
「お腹減ったでしょ? 喫茶店行くわよ! わたしの奢りでいいから」

そうだな…
最近はデートもろくにしてなかったしな…
たった今ストッパーが外れたんだ。
時間も、まだ午後を回ったばかりだ。

「ハルヒ、デートしないか?」

ハルヒはどうやら驚いているようだ…
そりゃそうだよな… 今まで俺からデートに誘う事なんて数回しかないんだもんな。

「そうね、デートしましょう!」

とりあえず喫茶店まで歩いて行くことにした。
手を繋いで、指を絡めて、ぶらぶらと振りながら、寄り添って。

今俺以上に幸せな人はいるだろうか?
いや、世界中探してもいないだろうね。


「キョン温かいわね」
「そうか?」
「はぁ… なんだか落ち着くわぁ…」

落ち着く… か…
俺は結構恥ずかしいからな?

「キョン」
「なんだ?」
「なんか… 緊張してきたんだけど?」

なぜ…? 意味わからんのだが…

「緊張してきたのよ… あんたがどうにかしてよ…」
「俺? どうすればいいんだよ?」

ハルヒは頬をプクゥーと膨らませて。
「バカ… キスしてよ…」

なーるほどね。
てゆうか… 正直… 今のハルヒは… たまりません…

そんなハルヒにそっと軽くキスしてやった。

「んー なんだかイマイチね…」

何を基準にしてイマイチなんだよ…

「普通のキスと比べてよ! あんた、今わたしを適当に扱ったでしょ!?」

そんなつもりじゃないんだ…
寒いらか悴んで震えている感覚を知らせたくなかっただけなんだよ…

「言い訳ね、まぁいいわ、その代わりデートは楽しませなさいよ?」
「わかってる」




そしてハルヒの奢りで昼飯を食って場所を移動した。

「最近、体動かしてないから運動出来るやつにしない?」 とハルヒが突然。
まぁ、最近体をろくに動かしてないからな…
たまにはいいかもな。

「じゃぁ行きましょう!」

ついた先はボーリング場。
まぁ運動なんだが… 小さい運動だな…
まぁいいや…








ゴッゴゴンゴロロロロロロローーン  パコーッッン!

「さっすがわたし!」

まぁなんとゆうか・・・
ハルヒは現在4連続ストライク中。 まだ始まってから4レーン目だ。

「ほら、キョン! ストライク出すのよ!」

無茶なこと言うな・・・ 俺も最初の二回だけストライクだったけど・・・
3レーン目で8ピン+ガーター  さすがに落ち込んだね

まぁ今のところはいい成績だ、次はストライクとってやるっぜ!

ゴロゴロゴロゴロー

鋼鉄の玉は一直線にピンへ向かっていった。
うん、いけるんじゃねぇか?

パコーンッ!


「ぬぁっ・・・」

最悪のパターンだ・・・ 端っこ2つだけ残っている・・・

「キョーン! スピンかけるのよ! スピン!」

無理だ! 俺はボウリングは4ヶ月ぶりな上にそこまで上手くないと思ってる!
でもとりあえずガーターだけは避けよう、1ピンだけでも撃ち落そう

ゴロゴロー・・・   パコッ

「何やってんのよバカーーッ!」
「1ピンとれただけでもましだろ! 2つともは無理!」

ハルヒは俺の肩をポンッと叩いてボールを持って投げる姿勢になった。
後姿は・・・ まんざらでもないがプロボウラーみたいに見えた。

まぁそんなハルヒも中々可愛・・・・・・・・

なぜかハルヒがこちらを睨んでいる

「あんた・・・ 視線がエロいのよ・・・」

わけわからん・・・ 俺の視線にそんな技術はありません。
しかも別に変なところは見てるつもりはありません。

「さっきからニヤニヤと・・・ こっちが変な気分になるわ」
あっ、顔か・・・ それはすまん。
「キスぐらいなら後でしてあげるわよ?」
お前がパーフェクトゲーム出来たらな。
「本当? 約束よ!」
なんで乗り気になるの・・・?









まぁその後、見事にパーフェクトゲームだったハルヒなんだけどね・・・
しかもどっかのチームに勧誘されてるし・・・ 多分プロになれると思うぞ?
「ボウリングなんて気晴らしよ、毎日毎日やってたら飽きちゃうわ」
同感だ。









「約束は?」
「後で、こんなところでしたらかなり問題になる・・・」
「それもそうね」


そこでハルヒが閃いたような顔をして
「プリクラ撮らない!?」

「どっちでもいいぞ?」
「じゃぁ行きましょう!」

ハルヒは俺の手を握って走り出した。
別に走らなくても・・・ プリクラが逃げるわけじゃないんだし・・・
「思いついたら行動するのよ!」
そうですか。












「これでよしっ」

機械から出てきたプリクラ。
どれもこれもハルヒが満面の笑みのものばかりだ。
「あんた・・・ あんまし笑ってないわね・・・」
「しょうがないだろ・・・ お前が突然・・・」



プリクラ撮る前の話だが
機械がハイッチーズ、と言い放った瞬間にハルヒは俺に抱きついてきたり・・・ キスしてきたり・・・
おかげでプリクラはそんな写真ばかりだ。

更にハルヒは写真にハート書いたり文字書いたりしてる。
「完璧ね」

まぁ完璧と言えば完璧なんだが・・・ これをどこかに貼るにはかなりの根性がいるんじゃないか?

ハルヒはプリクラを一枚だけ剥がして携帯の裏側にくっつけた。
「キョンも!」
「いや、それは遠慮しとく・・・」

他人に見られたら恥かしいだろ・・・

「そんな・・・ わたしの事が嫌いなのね・・・?」

意味不明。 解読不明。
まずお前・・・ 顔が反則だろ・・・ 今にも泣きそうな表情・・・

「ぅぅえっぐ・・・バカァ・・・」

泣き始めやがった・・・ しかも明らかに嘘泣きだな・・・
でもこんなハルヒも結構可愛いんだよな。 
「わかった、わかった、貼ってやる」
「本当っ!?」

いきなり顔を上げてそんな笑顔だったら嘘でも嘘って言えなくなる・・・

俺はなぜかハルヒの頬に手を当ててみた。
ハルヒはビックリしたようだ。 目が丸くなってる。
「えっ、な、何よ?」

まプリクラの機械のノレンから出てないから見られる心配は無いしな。
今のうちにキスしてやろう。

「キョン?」
口を近づけてみた。 どんどんどんどん、と・・・ 目を開けたまま
「んっ・・・」


これで満足だろ?
「キョンからしてくるなんて久しぶりね・・・」
「そうだっけか?」
「なんかいつもと違う感じがするわ・・・」
「俺もだ」
「これからキョンからしてくれない? わたしはそっちの方が嬉しいんだけど・・・」
「別にいいが?」

まぁ俺は別にいいんけどね。
ハルヒが喜んでくれるならそれで・・・

「じゃぁお願い!」
まったく・・・ お前の笑みは反則なんだよ・・・
そんな顔されたらこっちがおかしくなるぐらい可愛いんだぞ?







内心、ハルヒといられる時間が楽しかった。
永遠に続いてほしいと思った。
俺だってまだ未来想像図が実現してないんだ、こんな所で破り捨てる気は無い。
ハルヒも幸せになって欲しい、俺と一緒に。
だから守りたいんだ。

「どうしたの?」
「絶対に・・・ からな・・・」
「え? 何? 聞えなかったんだけど」
「なんでもない!」

ハルヒは不思議な物を見るような目でこちらを見てくる。













その後、夜遅くまでずっとあそんだ。
ゲーセンで遊んだり、買い物いったり、夜飯食ったり・・・
今日はかなり満足した。
そうだろ?ハルヒ

「うん・・・」
なんと寂しい顔だろうか・・・
今までに見たことの無い・・・ 寂しい表情・・・
「どうしたんだ?」

「もう今日はキョンとお別れなのかって思うと・・・」
「ハルヒはもう三日ほど俺とずっといたじゃないか、寝るときだって一緒だったし」
「三日だけじゃない・・・ もうちょっと一緒にいたかったのに・・・」
「まだ足りないのか?」
「キョンと一緒にいる時間は全部幸せだったの・・・」
「今日はハルヒの家に親いるか?」
「いないわよ? どうして?」
「泊まってやるよ」

「えっぇええっえ? べっべつにわたしの事は気にしなくていいわよ!?」
「ハルヒはいつも強がりすぎなんだよ」
「別にわたしは普通よ」
「なら泊まらないでもいいか?」
「いや・・・」

ハルヒは突然倒れるかのように俺に抱きついてきた。
かなりドキッとしたが、そのまま受け止めてやった。

「キョン、ありがとう・・・」
「別にいいさ」

































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翌日の話だ。

俺はなんだか体がだるくてハルヒ頼んで病院まで付き添ってもらった。
一旦病院まで着いたのでハルヒには帰ってもらった。
何度も何度も説得した・・・
ずっと一緒にいる!だの言ってるから諦めかけたけどなんとか帰らせた。




俺の名前が呼ばれたので入ることに


「こんにちわ」とドクター
貴様! 実は悪の黒幕だな!? って感じの顔の人であった。
絶対注射だしたら毒入れられそうな雰囲気だった。
いつでもこい! 俺の中の細胞が準備してるぜ!

「今日はどうしましたか?」
そうか! 油断させる作戦なんだな? そう感簡単にはいかないぜ?

「なんか頭が痛くて体がだるくて・・・」

「熱の方はどうですか?」








その後色々話して血を捕られた
まさか毒が変わりに!?  なんて事思ってたのはとうの昔
実際話してみるとかなりいい人だった。 人は見かけによらないな。




「ちょっとまた明後日ぐらいに来てもらっていいですか?」
「あ、はいそうですか」








とりあえず薬だけもらってその場を去った。







「って・・・ おい・・・」

ハルヒが外に居た・・・
缶コーヒーを片手に持って電信棒にもたれている

「あっ、おかえり」
「お前もしかしてずっと外で待ってたのか・・・?」
「そうよ?」

なんてやつだ・・・ 確かに病院からは出てけといったが・・・
少し嬉しいんだがな・・・

「どうだったの? 何か悪い所あ・・・ったぁ!? 何々!? どうしたの!?」

無性にハルヒを抱きしめたかった・・・  その欲望に耐え切れず行動してしまった・・・

「キョン!?」
「あっ・・・ すまん・・・」
「どうしたのよ・・・」
「そのー、なんだ・・・ 嬉しくてな・・・ つい」
「ま、まぁ許してあげるわ、別にわたしはどうも思わないし」
その割には顔が赤いですよ?
「うるさいわね・・・ 突き飛ばすわよ?」
大好きっす
「そっ」


















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二日後、再び病院に行った。
今回は一人で。






「こんにちわ」
「とりあえず腰かけてくれるかな?」

二回目ですね黒幕おじさん。

「どうかしたんですか? 体はもうビンビンですけど?」
「とりあえず来てくれるかな?」



ついていった先にあるものは・・・ レントゲン室・・・?

「えっ、レントゲン?」
「とりあえず、ね」




その後、色々な装置に俺はかけられた。
もうこれだけで今日一日分の体力を使い果たした・・・


「今度両親だけで着てもらうように言って頂けませんか?」

ちょっとまて・・・ なんでだ・・・

「何か問題があったんですか?」
「ちょっとね・・・」

なんでそんな深刻そうな顔するんですか?

「でわ、薬出しておくので明日両親に来られるようにお願いします」

何があるんだよ・・・
何で俺に直接言わない?
そんな深刻な問題があるのか?









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次の日、親が病院に行った。
その間に考えてみた。








俺の命が危ないんじゃないのか?








いや、そんなはずは・・・
でも俺に直接言わないなんておかしくないか?
とりあえず親が帰ってきたら色々聞こう・・・























ガチャッ、「ただいまー」

帰ってきた







「お袋、ちょっと聞きたいことがある」
「病院の事?」
「そうだ」




長い沈黙が続いた。






「出来る限り楽しみなさい」










その言葉だけで全てわかった。


俺は、もうだめなんだな・・・











他のお袋の言葉は全て聞えなかった
ショックが大きすぎた・・・


そのまま部屋に駆け上がりベットに寝っ転がった
「ははっ、はははは・・・」

笑いのようで笑いじゃない声しか出なかった・・・

「ははははははっはは・・・ はっ・・・ は・・・」

ハルヒに言うべきか・・・ でも・・・










「キョーン!! 迎えに着てあげたわよー!!」

ハルヒだ・・・ そういえばデートの約束してたんだっけ・・・
でも・・・ 


「何してんのー! 早くおりてきなさーい!」

とりあえず行こう・・・























「どうしたのよ?元気ないわね」
「あぁ、ちょっとな・・・」

言わないほうがいいよな・・・
ハルヒに心配させたくない・・・






別れたほうがいいかな・・・












「ハルヒ」

「何?」





だめだ・・・ いえない・・・ 口が動かない・・・
言いたくない
別れたくない
死にたくない
ハルヒと一緒にいたい
まだやりたい事がある
嫌だ・・・





「やっぱり顔色悪いわよ?」

こんなに俺のことを思ってくれる人・・・

くそ・・・