涼宮ハルヒの幸福6 12/12




勉強が楽しいと思ったのは生まれて初めてかもしれない。
いや勉強は嫌いだ
今してる勉強が楽しい。
ハルヒの勉強の教え方はその辺の教師より数十倍うまい。
さすが、とでも言うべきなのか。
だがな、ハルヒ。 勉強しずらい…  いや、楽しいし嬉しい。
ただ肩に頭乗っけてもらうとさすがに視界が悪くなる。
だが逆にどけてもらっては困る。
今のままがいいんだ。 俺は幸福なんだよ。



「キョン、休憩にしない? 二時間もぶっ続けよ?」
「あぁそうだな… 疲れた…」

「はぁー」 と俺が大きく溜息をついた。
ハルヒは「肩揉んであげよっか?」と
「頼む」


ハルヒの肩揉みはいい感じの力加減で文句の付けようがない。 
金払ってもいいぐらいだ。

「キョンだからサービスよ!」

ありがとな。





「ねぇねぇ」 とハルヒが肩を揉みながら。
「なんだ? 疲れたのか?」
「違うわよ、あんた相当学力上がったんじゃない?」

そりゃそうだ。
あれから二ヵ月間ハルヒに付きっきりで勉強を教えてもらっている。
先ほどやった『ハルヒ特製スーパーテスト』とかわけわからんテストでも八割が正答だっ
た。
へへんざまぁみろ。 俺をなめるなよ?

「じゃぁ今度の期末テスト勝負しない?」
「いいぜ、負けても後悔するなよ?」
「バカね、私が負けるはずないでしょ?」

実際勝てる気がしないんだがな…
まぁチャレンジだ。

「あっ、はいコレ。 ご褒美」

おっと忘れるところだった…
ハルヒが言うには『ハルヒ特製以下略』で七割以上とれたらご褒美が貰えるそうだ。
ついでにこのテストは週一でやっており七割以上とれたのは今回が初めてだ。
ハルヒが俺に渡したのは一枚の封筒。
中身を見てみた。

「なぁ、まぢか?」
「そ、そうよ…?」

中身は『なんでも言う事聞く券(一回のみ)』が入っていた。

「なんでも…?」
「そうよ…?」
「あーんな事からこーんな事まで?」
「あんたがえろい事想像してるかもしんないけど、それでも構わないわ…」
「いやそんな事はしない…」

ん〜 なんでもか…
一曲歌って貰おうか?
やっぱやめ、つまらなさすぎる。

「まぁいいや、必要な時まで取っとくよ」
「そっ、一回限りだからちゃんと決めなさいよ?」


空が黒くなってきたと思ったら

『ゴロゴロゴロ、ピシャャーーンッッッ!!』

雷が降ってきた。
すんげぇばかでかい音が部屋じゅうに鳴り響いた。

「結構近いかもな…」

ハルヒが俺の腕を抱え込んで肩を震わせている。
ハルヒに苦手なものがあったなんてな…

「大丈夫か?」
「ごめん… ちょっと痛いかもしれないけど、この腕貸して…」
「あぁ…」

『ズガァァァンッッッ!』

腕が引きちぎられるように痛い…
相当怖いんだな…

そのままハルヒの頭を片手で抱え込んだ。

「安心しろ、俺がついてるからな…」
「怖い…」
「雷が、か?」
「うん、私小さい頃から雷だけはだめなの…」

以外だな。 俺は結構好きなんだが…

「なら助けてね…」
「あぁ、いつでも」

『ゴロゴロゴロ… ズガァァァンッッッ…  プッ… プブ… プツゥーン…』

停電になった…
外が真っ暗なせいで部屋の中も真っ暗…
唯一わかるのはハルヒの位置。

「停電… なの…?」
「そのようだな… まぁすぐに直るさ」
「キョン、お願い。 絶対に離れないで…」
「あぁ、怖いんだろ?」
「うん… だから… お願い…」
「わかってるよ」



『チッ、チチチッ…  フォェン…』

復旧したようだ。
しかし雷は鳴り止まない。

『ピシャャンッッッ! ゴロゴロゴロ…  ズガァァァンッッッ!』

ハルヒは雷が鳴る度に
「ごめん…」と言う。
「謝る必要なんてないだろ?」
「だって、私のせいでキョンは身動きとれないし…」
「ハルヒのためだ、苦じゃないさ」
「ありがとう…」







結構な時が経った。
ハルヒはもう震えまくっていた。
しかも時間は午後七時を周っている。
しかも外は大嵐… とても外に出れる冗談じゃない、とニュースでは言っていた。

「ハルヒ、今日泊まってくか?」
「いいの…?」
「親に一様確認とるけどさすがにこんな状況じゃぁ外には出せないだろうからな」
「じ、じゃぁお願い…」
「一人じゃ怖いか…? ついてきてもいいが…?」
「大丈夫… そのかわり早く戻ってきてね…」
「あぁ」




親に申し出てみたところ軽くオケーをもらった。
女性、と言ったら母親は変な目で見てくる…
「誤解するなよ? ただ勉強教えて貰ってるだけだ」



母親は夜飯を二人分作って部屋で食べなさいと言って俺に渡してきた。

「ハルヒ、大丈夫か?」
「平気…  けど怖い…」
「飯持ってきたが食べるか?」
ハルヒは小さく頷いて俺の方へ近付いてきた。

「「いただきます」」
















飯が終わってやっと雷がおさまった。 しかし嵐は、まだ継続している。
「キョン、お風呂入りたいんだけど…」
ハルヒもそこそこ回復した。

「家族になんか言われても気にするなよ?」
「なによそれ? 服はどうしよう…」
「俺のTシャツとジャージでも着るか?」
「うん…」




ハルヒに着替えを持たして風呂場まで案内した。
途中で母親に見つかってしまった…
しかし少しだけハルヒと挨拶をしてその場を去っていった。
気つかってんのか?


「キョン、まだ覗くのは許さないからね…? でも近くにいて…」
「はいはいっと」





ドア越しに座りぼやけたハルヒの体を見ていた。
まったく見えないがな…







風呂から上がり部屋に戻って色々と遊んで次に俺が風呂に入った。

なるべく早く済ませて部屋に戻った。

「入るぞー」

ガチャッと扉を開けてバタンと閉めたらいきなり足払いを食らった。

「ぬぁっ!?」

そのままバランスが取れずに転倒…
そして頭を思いっきり床にぶつけてもがく俺。

ハルヒが申し訳なさそうな顔で必死に謝ってくる。

「ご、ごめんキョン! まさかあんなにまでなるとは思ってなかったの…」

ハルヒは膝枕をしてくれて俺の頭を撫でている。

「本当にごめんね…」
「いや、いいって」

そのまま目が合ってお互いに吸い寄せられた。
主にハルヒが吸い寄せられているのだが…
俺はハルヒの膝の上に頭を置いたまま準備した。
ハルヒの唇と俺の唇が重なった。























「ハルヒ、おやすみ」
「うん、おやすみキョン…」

キスが終わった後も遊びまくって疲れたので寝ることに。
母親がハルヒの布団を持ってきたがハルヒは怖いらしく俺と同じベットの上で寝ている。

「キョンって…さ…」
「ん?」
「優しいよね…」
「そうか」

片手を握り合って俺は目を閉じた。

その後、ハルヒが何をしたかわからない、 なんせ寝てたしな…