涼宮ハルヒの幸福4 12/7(木曜)




男として付き合っている女性に更に好きになって欲しいと思うのは必然だ。
現に俺もそう思ってる
これの最終進化系がバカップルなのだと思う。
羨しいよ。
まだ彼女の「か」の字も無かった頃はバカップルとゆうものがこの世に必要なものなのか
と考えていたが、どうも間違っていたらしい。
必要なのだろう。 限定二人の間では。

まぁ俺もハルヒといずれかそのようになれればいい。
なってみせる。


だが女とゆうものの心はよく分からない…
何考えてんだか…





それは突然だった。
本当に突然だった。


学校で昼食事の時にハルヒに呼び出された。
飯食わせてくれよ… 今日は朝も食ってないんだよ…

「キョン… ちょっと大切な話があるの」と少し口曇った感じで。

まぁ別に何言おうが俺はやってやるさ。
さぁ準備万端だ来い。

















「分かれない…?」





















おっと頭の中が真っ白になった…
今なんと言った?
分かれるだと…?
準備万端のはずなのに一番重要な物を忘れてきた気分だ。
てか、まてまて。
分かれる? そんなバカな…
今の俺は、ハルヒが居なくなったら死んだもどうぜんだぞ…
まて考え直せ俺。
ただの聞き間違えだ。
多分「輪、狩れない?」と聞いてきたんだ。
輪ってなんだ? いや今はんな事どうでもいい。まぁ、冷静になればこちらの勝ちだ。




俺から出た言葉は






「そうか、ハルヒの頼みなら聞いてやるよ。 じゃあな」

俺は再び教室までの道を歩き始めた。

なんでこんな簡単に諦めるかって?


ハルヒの顔にいかにも嘘ですって書いてあるからな。
大方俺の反応を見ようとゆうこんたんなのだろう。
残念だったなハルヒ。
そんだけニヤけてたら大抵の人はわかるぞ?






後ろからはなんだかトラップしかけるのに失敗した人のような声で


「ぇ? キョン…? ちょっと待ってよ…」
「なんだよ分かれるのだろう?」
「ぅぇっ、あ、あああ、あんなの嘘よ…」
わかってたさ。
「一回言った事は撤回出来んぞ」
「何よ… じゃぁどうすれば仲直りしてくれるのよ!?」

笑いが込み上げて来る…
堪えろ… 俺…!

「そうだな… もう一度告白したらまた彼氏になってやるぞ?」
「バカキョン… なによ…」
「じゃあな」
「あっ待ってよ! わかったわよ!」

ほんと、おもしろいな…

「私はキョンの事が大好き! この世で一番!」

まったく… なんのために嘘なんて言ったんだよ…

「だって最近キョンが冷たいんだもん。 少しぐらい心配させようとしたんだけど失敗しちゃった…」

ハルヒは餓鬼のような笑顔で背中に両手を当てて俺の方を上目遣いで見てくる。
ものすごい可愛いんだが…


「で、こんだけか? 呼びだした理由」
「そっ、こんだけ。 私の事好き?」
「あぁ好きだよ」

学校でこんな話してる俺たちも変なんだが
なんだか今日のハルヒは笑顔が多いい。
さらになぜか俺と一緒に行動したがる。

例えば

『ほらキョン!一緒に理科室まで行きましょ!』
『お昼ごはんは作ってきたから。中庭行きましょう』
『え? トイレ? じゃぁ私も』
『こらキョン、勝手に行動しないでよ』
『はぁ・・・ なんで保険の時間って男女別々なのかしら・・・ これ考えた奴の顔がみてみたいわ・・・』

などなど、だ。

もっとも俺としては嬉しいのだが・・・  他人の目が気になる・・・
教室の連中は俺をニヤニヤ見てくる奴もいれば笑顔で見送ってくる奴もいる。
えぇいうっとおしい。  とりあえずだな

「ハルヒ、学校でこんなに一緒に居たりするのはやめないか?」
ハルヒは弁当の玉子焼きを口に含みながら
「私が一緒にいると迷惑?」
「いや、そうじゃないんだが・・・」
「私の事嫌い?」
「だから違うって・・・」
「じゃぁなんで?」
「他人の目が気になるんだ・・・」

ハルヒはとても大きく溜息をついてから

「そんなもん気にしてたの? 別にいいじゃないの。 なんならもっとラブラブなところ見せてやってもいいわよ?」
「よくないって。 それにこれでもラブラブと他の人からは認識されてるだろう・・・」
「じゃぁ学校内でキスとかしても大丈夫ってこと?」
「それだけは止めてくれ。頼むから・・・」

学校内でそんな事されたら俺は間違いなくいぢめられてるね。
特に谷口あたりから・・・  言葉のいぢめってやつだ。

人の気もしらずにむしゃむしゃと俺の隣で弁当を食うハルヒ。
はぁ・・・  俺は視線を下に落とした。
なぁ玉子焼き、俺って今幸せなのかな?
当然返事など来るはずが無い。
ついに落ちるところまで落ちたのか? 俺・・・

「大丈夫、大丈夫! さすがに学校内じゃそんなことしないわよ!」

ハルヒが手を振りながら口を動かしている。
喋るか、食うかどっちかにしなさい・・・

「二つとも同時にこなすのが普通よ」

そうかい。












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午後の授業

真剣に話す教師の顔を見ていたら眠くなる・・・
そんな大声で話すぐらいなら違うところで働けよ・・・

わけのわからないxやらyは俺の耳には入っても脳まで届かない。
もちろん後ろのハルヒは熟睡中。
なんでいつも寝てるのに頭はいいんだよ・・・ まったく・・・




あぁ、眠たい・・・
寝させてくれ・・・
頼むから・・・

その手どけてくれハルヒ・・・


ハルヒは寝たまま俺の背中に爪を立てている。






キーンコーンカーンコーン















「おい、ハルヒ。 起きろ」
「んんぁ〜、 もうちょっと寝かせて・・・」
「もう授業は終わったぞ」
「うるさいわね・・・ あと少しだけ・・・お願い・・・」

とんでもなく可愛い表情でお願いしてくるハルヒ・・・
反則だ・・・  反則的に可愛い・・・

「わかったから、時間になったら起こしてやるよ」

ハルヒは俺の片手を取って「ありがとう」と呟いてまた睡眠を始めた。

とても温かいハルヒの手。
握るのはいいんだがもうちょい隠してくれ。

「なによもう・・・ 別にいいじゃない・・・」

起きてんのかよ・・・

「寝言よ・・・」

そうか寝言か。






そこから少し時間が経ってそろそろ次の授業が始まりそうなのでハルヒを起こすか

「おい、そろそろ起きたほうがいいぞ」
「早くない・・・? まだ2分ぐらいしか経ってないはずよ・・・」
「もう10分は経ってますよ」
「わかったわ、キョン一人じゃあまりにもつまらないから私を相手にしたいってこんたんでしょ?」
「別にそうじゃないんだが・・・」
「正直に言いなさいよ」

俺は溜息をついてから

「ハルヒ、俺はつまらない。 相手してくれ」

ハルヒはゆっくりと顔を上げてこちらを見た

「あんたがそこまでゆうなら仕方ないわ、相手してあげ、、、」

キーンコーンカーンコーン

「る・・・」
「じゃぁまた後で相手してくれ」
「もうキョンなんて大ッ嫌いよ・・・」

ハルヒの表情がとても悪い・・・

「俺はなにをゆわれようとハルヒの事が大好きだぞ?」
「私だってそうよ・・・ キョンが嫌いになれるはずないじゃない・・・」

どっちなんだよ・・・



再び教師のつまらなーい話を聞いて授業が終了した。
もちろん後ろのハルヒは寝ている。 よく寝るな・・・

「ねぇお願い・・・」
「なんだよ」
「頭撫でて・・・ これは寝言だから・・・」
「はっ?」
「撫でてって言ってんのよ・・・ もう一回言っとくけど寝言だからね」
「寝言か。 まぁいいや」

俺は手をハルヒの頭に乗せてゆっくりと撫でた。
もう他の人の目線なんていいや・・・

「キョンは優しすぎるのよ・・・」
「どうゆう意味だ?」
「少しは怒る表情とか見せなさい・・・ なんかキョンが我慢している感じで私が不安になるのよ・・・」
「お前がいつ俺に怒らせるような行為をしたんだよ」
「・・・ してないけどさ・・・ でも怒ってよ・・・」
「わけわからんぞ・・・」
「もういいわよバカキョン・・・」

何が言いたいんだこいつは・・・

「それと私にも頼りなさいよ・・・ あんたはいつも一人で全て解決しようとする・・・
少しぐらいは私にも頼ってよ・・・ いつも私だけあんたに頼りまくってる・・・ 不公平じゃない・・・」

「頼るって言ってもな・・・ なにも今ないし・・・」
「少しぐらいあるでしょ・・・」
「じゃぁとりあえず顔上げてくれ」
「だからこれは寝言って言ってるでしょうが、少しぐらい理解しなさいよ」

どんだけ台詞の多いい寝言なんだ・・・

「上げろ」
「嫌よ」
「怒るぞ」
「怒ってよ・・・」
「はぁ・・・」

もう溜息しか出ない・・・
こいつが何を考えているかまったくわからない。

「キョン、一つだけお願い」
「なんだよ」
「これからも一緒に居て・・・」
「その代わりに俺の頼みを聞くか?」
「うん・・・」
「顔を上げろ」
「・・・」
「なんで上げないんだよ・・・」
「嫌よ・・・ 今は・・・ 」

そうゆう事か
ハルヒが泣いてる・・・
多分見られたくないのだろう・・・

「ハルヒは強がりすぎなんだよ・・・」
「だって、だってだって・・・ キョンがぁぁ・・・ ぅぁぁん・・・」
「頼むから・・・ 泣かないでくれよ・・・」


ハルヒが何を溜め込んでいたのかは知らない。
ハルヒが学校で泣くほどまでに何か溜め込んでいたのか・・・
なんで俺は気づかなかったんだ・・・

「ごめんな、何も気づいてやれなくて」
「・・・」
「何がしたいんだ? ハルヒは」
「今はこのままいさせて・・・」

無意識に俺はハルヒの頭を抱き寄せて胸に当てていた。
もう完璧に俺はクラスの連中から色々言われるだろうに・・・

「だから言ってるでしょう?」
ハルヒがいきなり呟いた
「何をだ」


「もっとラブラブなところ見せてやってもいいわよ って」

「はぁ・・・」











それから、帰りの支度をしている時に

「キョーン」

やってきたのは谷口である。

「なんだよ、そんな機嫌よさそうな顔で・・・」
「お前も男になったってことだよ」
「はぁ?」

国木田もやってきた。

「もうラブラブだね。キョンと涼宮さん」
「それは他人の目から見た感想だろ?」
「違うの?」
「違わなくわないけど・・・」


もちろんこの場にハルヒはいない。 トイレのようだ。

「まぁせいぜいがんばれや!」
谷口は俺の背中を叩いて席へ戻っていった

「なんか変だな・・・ 今日の谷口・・・」
「ははは、嫉妬でもしてるんじゃない?」
「ばかいえ、いづれかあいつだって適切な彼女が出来るさ」
「僕は?」
「お前もだ」
「ならよかった、じゃ。」








ハルヒが戻ってきた。
さっきの状態が嘘のように禍々しい顔で

「どうしたんだよ・・・ そんな怖い顔で・・・」
「キョン! いいから黙って話を聞いて」

なんなんだよ・・・

「あんたは今日から私に頼ること! 私は今日からあんたに頼らない! いい!?」

またわけのわからない事を・・・

「俺はお前に頼ってもいいが、お前は俺に頼れ。 いいか?」

ハルヒの顔はどんどん優しい笑顔になっていき
「それならいいわ、わかった? 絶対によ? 一人で全てをこなすなんてゆるさないんだからね?」


「はいはい・・・」

「よし、じゃぁ今日はミーティングあるから早く部室来なさいよ?」



やっぱり泣いてる表情はこいつには似合わない・・・
だけど少しぐらいは優しく俺に接してくれよ・・・
まったく・・・