涼宮ハルヒの幸福3 11/25(土曜)



次の週の水曜日

俺的にはもっとも好まない曜日だ。

理由は、授業の教科が殺人的麻酔力をほこるものばかりだ…

俺は溜息をなんかいもつきながら学校へ登校した。





やはり彼女は俺がクラスに入る前にはかならずいる…

「よぉ、ハルヒ」

「おっはよう、キョン!」

朝っぱらから元気な奴だな…

「んー んー」とハルヒは目をつむって唇を前に突き出してる。

「なんだよ…」

「あさのちゅーは?」

「しない!」

まったく…


今週に入って毎朝こうだ…

おかげでさまでクラスのやつらには変な目で見られるようになった。

あいつ……殺す!! といわんばかりの眼光を送ってくるやつもいる…



谷口にいたっては

「お前…いつから涼宮と付き合ってたんだ?」

「なんで教えなきゃいけないんだ…」

「まぁいいさ… だがほどほどにしといたほうがいいぜ?」

「俺に言うな…」

「涼宮が性格を少し変えてから狙ってる奴が多くなってきたからな」

「そうなのか?」

「あぁ、あいつは性格だけが問題だったからな、それを直したらこうなるのは必然だろ」

「気をつけるよ、お前もそろそろ女作る事だな」

「くそ〜調子に乗りやがって… 今に見てろよ!」

と言って谷口は何処かに行ってしまった…



ハルヒが教室に戻ってきた。

「どこ行ってたんだ?」

「気になる?」と無愛想な顔で

「じゃあいいや」

「キョンってさ…」

「うん?」

「今誰か気になってり人とかいる? いや、別に疑ってるわけじゃないよ!?」とあわ
てて

居るはずないだろう…

俺はハルヒの事が好きなんだぞ?

「ならいいんだけど……」

「どうしていきなりそんな事を?」

「最近…キョンが冷たいから……私嫌われたのかな……って…」とうつ向いて

「バカいえ、もう俺にはお前以外見えてないって、そんくらい好きだ」

「そっ、ありがとう」とハルヒは言って窓の外を眺め始めた。


「でも、もしの話だが、俺が他の女の人と付き合いだしたらお前はどうする?」

ハルヒは驚いたような顔で振り向いて

「まさか…浮気…してる…の…?」

「もしもの話だ!」



「そうね… もしそうなったら私……」

「お、おい!どうしたんだよ!」

ハルヒが少し涙を流している…

「もしキョンが他の人に…… 取られたら……私………自殺でもしちゃうかも……」

おいおいまぢかよ…

「今はキョンの居ない世界なんて…考えられない……」

「ハルヒ…… とりあえず涙を拭け。 見てるやつらに誤解される」

「うぅ… ごめん…」

無論、殺気を放つやつがいる事に気づいた俺だが。

「そこまで俺の事思ってたのか… ありがとな。」

「お礼はいいから… これからも…一緒に居てよね?」と泣きながら笑顔で。

やばい…可愛い……抱き締めたい…














昼食時。

ハルヒは毎日弁当ん作ってきてくれる。

「はい、キョンの分」

「いつもありがとな」

「いいわよ別に」

「ほら あ〜ん して!」

それはさすがに恥ずかしいだろ…

「いいのよ別に関係無い人たちわ!」

俺は殺される可能性もあるけどな…

「何わけわかんないこと言ってんのよ、ほら、あ〜ん」


しょうがないな…

俺はしかたなく あ〜ん することにした。



パクッ もぐもぐもぐもぐ

「どう?」

「おいしいよ」

ハルヒはフフと笑って「次は私にやって!」と


しかたな、、、いっっっ!

殺気が…… 背中にナイフが突き立てられてるような気が……

「ホラ、キョン、はやく〜」とせかすハルヒ

俺はすばやく弁当箱から卵焼きを取り出してハルヒの口の中に入れた。

「ありがとう、キョン」

「どういたしまして…」

周りを見渡すと俺を睨み付けている男子どもがかなりいる…

廊下にも……

谷口は呆れたような顔で

国木田は、クスクス笑っている。

ハルヒはのんきにおかずを腹に入れている。

まずハルヒの手作り弁当を食ってる時点で殺気がすごい…

それにハルヒの手作り弁当は旨かった。





「ご馳走様でした」












午後の授業。

俺は睡魔と格闘中。

勝てる見込みは低い。

だがそれを唯一救ってくれるのがハルヒが俺の背中をシャー芯で突いてくる事。


教師にバレないよう小声で

「さっきからなんだよ…」

「そろそろ我慢の限界なんだけど…」

「何を我慢してんだよ…ウ○コか?」

「下品ね…… ちゅーに決まってるじゃないちゅー!」

「後でしてやるよ… まったく…」

「絶対?」

「あぁ」









さて放課後

部室には俺以外は皆そろっている。

俺は古泉とチェスをやることに…

古泉はハルヒに聞こえないよう「どうですか?」と

「何がだ…」

「涼宮さんの調子です

よ」

いやいつもと変わらんが?


「知ってますよ?お二人が付き合ってる事」と言いクスクス笑っている

「お前には隠しても無駄だったか……」

「えぇ、それでどうですか?」

「そうは言ってもな… あんま変わってない気が…」

「外見はそうですが中身はすごい変化してますよ?」

「そうなのか?」

「今の涼宮さんには安心感が見られます」

「安心?」

「はい、それと何かモヤモヤした感じもありますね」

「なんだそりゃ」

「何かしたい、動きたい、甘えたい という所でしょうか?」

「そうか… で、俺に何をしろと?」

「涼宮さんの願いを聞いてそれをかなえる事です」

「願い……… ね………」

古泉はスマイル100%で

「よろしくお願いします」と

俺以外の人でも出来そうなのにな…

なんで俺なんだか…




ハルヒに選ばれた人間

ただそれだけの話なのに俺はいったい…



俺は古泉とチェスを続けた








パタンッ

長門の本が閉じられた、今日は終わりか

帰り道、俺とハルヒ以外は別の道で帰っていった。

「さっきの約束守ってよ?」

「なんの話だ」

「ちゅー、よちゅー」

「あ〜、今度な」



ハルヒはすごく不満そうだ

「約束でしょ…?」

「ん?」

「約束したじゃない……」

だってこんなにも人がいるんだぜ?

今は学生の帰り時間だ

「恥ずかしいんだ…」

図星……

「キョンは私の事嫌いになったんだ… そうなんだ…」

マイナス思考にもほどがあるだろ……

てゆーか意味不明…

「キョンのバカ!」 と言ってハルヒは走っていった。





意味分からん! なぜ逃げた!

「ちょっ、ハルヒ!!」

ハルヒは「バカバカバカバカーー!」と叫んで走っている。



他の人に見られたら誤解される!



「ハルヒ!待て!」

と言った時にはハルヒの姿はもう見えない……

俺が何をしたっていうんだ……

あんなバカバカ言いながら走っていったハルヒに俺は何をした!?思い当たる事はない…


俺はとりあえずハルヒの走っていった道を追いかけた。





ったく、どこいったんだ……!



いない…、 いない…、ここにもいない……


周りは既に暗くなっている。

携帯にかけても出ない……

俺は諦め半分に公園を覗いてみた……


やっぱり、いない…


「うぅ……んく……ずぅ……うぅぅ……」と泣く声が聞こえる……

どっからだ?



どうやら滑り台の上からのようだ……



いたっ…… そこには黄色いリボンを付けた少女が……



俺は気づかれないように階段を登りハルヒの後ろまできた。



俺にはまったく気付いてないようだ。


俺はハルヒの耳に息を吹き掛けた。


「ひゃ…!……あぁぁぁ」と言って滑り台を滑って行ったハルヒ


「な……何!?誰?」


俺はそのまま滑り台の上で立ったまま。

どうやら電灯の光でよくこちらが見えないらしい。

「眩しい…… 誰なの…?」


「ハールヒ。」
そう言って俺も滑り台を滑っていった。

「なっ…!キョン!?」

「あぁそうだ」

「なんで…?」

「まったく…探したんだぞ?」


「ぇ…?」

「ほら、こんなに暗いんだし帰るぞ」

「嫌っ! いやよ!」

「なんでだよ…」

「だってキョンが約束守ってくれなかったんだもん…」

「約束?」

「ほら、忘れてる…」

「あっ、キスの事か…」

「もういいわよ!」とハルヒは言って立とうとしたのを俺は腕を持って止めた。

「何よ!離しなさい!」

「もしかして、それだけで怒ったのか…?」

「そうよ!他に何かあるの!?」

「はぁ…… なぁハルヒ…」

「もういいって言ってんでしょ!?」

「いや、俺の気がすまん…… 女を泣かしたんだぞ? 男として最低だ…」

「泣いてなんか…ないわよ……」

「キスするぞ」

「もういいよ…」

俺はそんなハルヒに嫌気がさして思いっきり抱き締めてキスをした。

「え…?」 ハルヒは頬を染めている。

「そういえばこれがセカンドキスだったな…」

「う、うん……」

「なぁハルヒ…」

「なに?」

「バカバカいってたのはなんなんだ?」

「えっと…… あれは……」

俺は真剣な顔つきでハルヒを見た

「ぅーー そんな顔しなくても…」

「はっ、人にあんだけバカバカ言われてどうもしないほうがおかしいわ!」

「もぅ……ごめん…」

「誰も謝れなんて言ってないぞ?
まさか団長様が団員に謝るなんてな…」

「な、何よ!バカキョン! せっかく謝ってあげたのに!」

ニヤケ顔がおさまらなかった。

「何よその顔! むかむかするわ!」

「ほんと面白いな」

「うっさいわね!
だけで約束は守ってくれたんだし、許してあげるわ」

「そうかい、じゃっ帰るか」

俺は抱き締めていたハルヒを離そうとしたがハルヒが次は抱き締めてきた。

「どうした?」

「もうちょっと…このままいさせて… なんだか心地いいの…」

「わかったよ、好きなだけどうぞ」

「ありがとう……」


「スースースースー」

「寝てるのか…?」



どうやら眠ったらしい…

可愛い寝顔だな……


「んにゃ……キョン……大好き……」


「ん? 寝言?」

ハルヒは俺を抱き締めたままうごかない……

「動けん……」

俺はそのまま滑り台の下の砂場に横たわった……



眠ったらお終いだな……

授業の疲れか眠気が押し寄せて来る…

「ハルヒ……」



おやすみ…