The happiness which it does not end





「バカキョン!!!」


わたしはすぐにキョンに飛び付いた。
持っていた鞄も投げ捨てて。




「うぉぉ… ビックリするな…」
「あんた何してたのよ!! 2ヵ月間も…ずっと…ずっと…」
「すまない…」
「また謝った…」
「覚えていたか…」
「ふざけんじゃないわよ! 何よ今更!」
「俺だって… 今帰国したばかりなんだぞ?」

帰国…?


「か、海外に行ってたの!?」
「そうだが?」
「なんでよ! 旅行なんて言ったらぶっ飛ばすわよ!?」
「違うんだ… 実は…」

キョンが言うには手術中、
どうしても日本では何も出来ない部分があったので海外まで飛ばされたらしい。



「連絡の一つぐらい… くれればいいのに…」
「携帯を家に忘れてしまってな…」
「ばかぁ… どれだけ… どれだけ心配したとおもってんのよぉ… ぅぁぁぁぁ… んぐぅ…ぁぁぁん…」
「心配かけたな… ハルヒ…」
「もういいわよ… ぅぁぁぁぁん… あぁぁぁぁぁぁぁん… んぐぅ…」
「おいおい・・・」
「あんたが死んだんじゃないかってずぅぅっと心配したんだからね!?」
「大丈夫だ」
「ばかぁ・・・ ばかぁああ・・・!」

キョンはそっ、とわたしの背中に手をまわしてくれた。
「約束は、守っただろう?」
「約束なんていいわよ…! キョンに…会えた… これだけでいいのよぉ…」
「お前はどうなんだ?」
「なにがよ…」
キョンが私服の裾でわたしの涙を拭った。
謝罪のつもりなのかしら…?

「誰とも付き合ってないだろうなぁ?」
笑った顔だった。
安心した…
「残念ね」
「ん?」
「わたしは昔のキョンと付き合ってる最中だから無理よ?」

キョンは「やれやれ…」と呟いて
わたしの両肩をガッと掴んだ。
「俺と付き合ってくれ! ハルヒ!」

答えは決まってるわよ。
こんなところで終わるわけないじゃない。
わたしとキョンの、二人の物語なんてまだ初盤よ!
「どうしても?」
「あぁ、俺はお前が好きだ!」

キョンは真面目な顔をしていた。
「なら証拠…」
「し、証拠…?」
「わたしを愛してるって証拠」
もうとことん意地悪してあげるからね!?
どうせキョンの事だからこんな人前ではしないだ、、ろう…し…?


多分、今、わたしの顔は真っ赤だと思う。
だ、だっ、だっていきなりキョンがよ!?
まさかキョンからしてくるなんて思いもしなかった…

周りからは拍手が起こった。
当然よね、まだ学校から出て数メートルしか歩いてないもの。

「わかってるでしょうね…?」
「なにがだ?」
「ここまで心配かけた責任とこの恥ずかしい状況について…」
キョンはクスクスと笑い出した。

「な、なによ!?」
「ハルヒにも、恥ずかしいという感情があったなんてな」
「う、うう、うるさいっ!」
キョンのホッペを軽く抓ってやった。
「痛いって!」
「バカキョンなんて晒者になればいいのよ!」
「お前なぁ… ぃって!」
そのまま抓った状態から思いっきり引っ張ってやった。

ちょっとやりすぎちゃったかな…?
「いってぇなぁ…」
「罰よ罰! まだ続くからね!」
「え、えぇ!?」

「とりあえず」
「なんだ?」
「キョンの家に行きましょ!」
「そうだな」














変わらないキョンの部屋。

もう絶対に離さない。
最愛の恋人、キョン、あんたはわたしに一生分の借りを作ったわ。
責任としてこれからずっと一緒にいる事! いい!?

「そのつもりだ」
真剣な顔だった。
これでこそキョンよ。

そうして、再び唇を重ねた。


これで終わるわけないじゃない。
永遠に続くんだからね?
キョンと一緒なら天でも知の果てでも行くわよ?
だから。


「大好きよ」