涼宮ハルヒの幸福11 12/24


「あーん」






そんなバカップルをやっている俺とハルヒ。
視線がっ…
大学に入ってからハルヒは男に狙われる事が多くなってきた。
ついさっきも告白されたらしい。
「キョン、次わたしに!」
「はいはい…」

周りは「羨しい」「憎い」「幸せに」
の3グループに分かれている。
俺の鞄の中にもそんな手紙が入ってた事もあった。
『涼宮さんよこせ』
お前に扱える代物じゃないからな?

そして終いにはこれだ
「涼宮さんともうやったでしょ?」
今まで全て否定したけどな。
実際既に一回… おっと口が滑った。

しかし既に校内では公認のカップルとなっていた。
「涼宮さんの隣はキョンしかいない」
これは嬉しい言葉だ。
「涼宮さんはお前には合わない! 別れろ!」
他を当たれ。



「ほら、キョン、口になにか付いてるわよ」
「ん? なん…だっっ!?」
ハルヒが大胆すぎるから広まるのが早いんだよ…

ハルヒは俺の口周りをペロッとなめてきた。
さて、どうなるかっていうと…
笑顔で見送って来るやつから殺気を放つやつまで…

そんな人気爆上がりなハルヒの彼氏俺。
余命は少ない気がするんだが今の時を楽しもう。
ハルヒから初めてモーニングコールが来なかった日以来、えっと三日前か。
俺とハルヒのLove度は更に増した。
いつでもどこでもベタベタベタベタ…
もし俺が他人なら暑くてしょうがなくなる程だね。
「キョーン、ちゅーしよう」
「あっ、どこ触ってんのよ、ぇっち…」
「一緒に着替えない?」
そろそろやばいな…
一緒に着替えた日には俺は友人に撲殺されてるだろうに…

一番やばかったのは、
学校内で少し小さめの声で、
『キョン、ぇっちしなぃ…?』
さすがに返す言葉が出なかったね。
まさかハルヒから言うなんて…
無論、断ったがな。
ハルヒは残念そうな顔をしていた。
また今度な。 それより学校でこの発言はちょっとやばいぞ・・・

「キョン、何ぼけーっとしてんの?」
「ん、あぁ?」
「ちょっと大丈夫?」
「全然普通だが?」

ハルヒはなぜだが俺を睨みつけてきた。
眼光が痛い・・・ いつのまにそんな技を覚えたんだよ
これなら龍の一匹や二匹倒せそうな気がするんだが。

「顔、真っ赤よ?」

変な事を思い出したからだ



















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帰宅途中。
普段通りハルヒと並んで家に帰る俺。
そこは学生の帰り道、様々な人たちがいるわけなんだが・・・
そこで一気に俺に視線が向けられている
なぜか、、、 ハルヒが俺と手を繋いでいる。
それだけならいいんだ。
だが途中途中で抱きついてきたりキスしてきたり・・・
もう完全なバカップル状態だ・・・
嫌じゃないんだが・・・ 場所考えようぜ・・・
しかし、あれだ。 高校時代のハルヒから考えたら予想出来ないハルヒだ。
こんなに甘えてくるなんて・・・ 団長さんよ、もうちょい団長らしくしてくれ。

「うるさいわね、団員にサービスしてあげてるだけよ」

団員にサービスする団長、逆だな逆。

「嫌ならやめるけどー?」

嫌じゃない、むしろもっとやってくれ。
俺には時間が無いんだ。 いづれか尽きるこの魂。
早めに思い出を作ろう。

「そっ、ならもっとやっちゃうわよ?」

了解。
ほどほどにしてくれよ?

まぁあんなこんなで幸せの時は刻まれるわけなんだが。


「ねね、今日キョンの家に泊まっていい?」

そんな笑みするな・・・ 首を横に振ることすら許されないじゃないか・・・
卑怯者め・・・

「どうぞ」

ハルヒは更に顔の光が+されて眩しいほどだった。
ぁー、お前、実は大天使とかじゃないのか?



帰り道に寄り道。 近くのアイスクリーム屋だ。
とりあえず二人分注文。



食べ歩きで家に帰る俺とハルヒ。
片手にはアイスクリーム、もう片手には相手の片手。
こけたら確実に怪我をする状態だ。 うむ、気をつけよう・・・
だが俺には目の前の光景が信じられなかった。
三日前に枯れきった桜や花は満開満開。 
いや、これ満開? 満満開状態・・・
普通咲くほうがおかしいほどやばい咲きよう・・・
これだけで卍解出来そうだ。 おっと失礼。

「すっごい桜ねー」

季節は五月。
そろそろ散り始める頃の桜。
ハルヒが願うなら永遠に咲き続けるさ。

「じゃぁ一生願ってみるわ」
そんなニヤけたハルヒを見ながら苦笑していた。
これってまずいよな?












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自宅。
第一に親に見つかった俺。

「こんにちは涼宮さん」
「あ、こんにちは」

なんかお前口調が・・・

「どうぞ、上がって」
くそぅ、この母親め・・・ クスクス笑いおって・・・
手を繋いでるだけだろ? おのれ・・・

「キョン、行かないの?」
玄関で突っ立ってる俺に正気が戻った。
「あ、あぁ」





バタンッ。

部屋に入ってハルヒは早歩きでベットにダイブして仰向けになった。
俺は机から椅子を引いて座ることに。

しーかーし
ハルヒはなんだか不満気な顔で
「ぁー、今わたし無防備かもー」 などと・・・
お前は何がしたいんだ?
「キョン、10秒だけ目瞑ってあげるから」
何のために?
「いーち、にーぃ、さーん・・・」
何もしないからな
「きゅー、いーち」
戻った・・・ 9→1!? それはそれはフェルマーの最終定理より証明が難しいだろうな。
「にぃー、さーん・・・」
そのまま40秒ほど経過して、やっと
「あんたバカでしょ・・・」
バカ言うな。
「はぁー、男ってもうちょっと狼なんでしょ?」
狼にもいいやつはいるさ。
「狼は狼らしく襲ってくるものじゃん」
俺は頭が働く狼だからな、空腹時以外は普通なんだ。
「じゃぁ今日から絶食しなさい」
無理。




その後もハルヒは同じ位置で会話していた。
俺は椅子でグルグルと回りながら。
ハルヒさん、さっきから気になってたんですけどパンツ見えてますよ。
「好きなだけ見れば? エロキョン」
エロって・・・ 失礼な・・・
「ぁーもう、うざったいったらありゃしないわ」
そうですか。
「狼!狼!ウルフキョン! 早く!」
ウルフキョンってのはなんだかカッコイイな。
早くって何を?
「もう嫌・・・ 鈍感アホバカエロ変態ウルフキョン・・・」
でも最後にウルフがついていた。
長い名前だな・・・

とうとう諦めたのかベットに座り込んだハルヒ。
そして俺に隣に座ってと頼み込んできた。
まぁそれぐらいなら別にいいだろうに。

「やっぱりキョンが隣にいると落ち着く・・・」
そうか、だけどな、お前何で俺の膝に頭置いてるんだ?
いや、いやじゃないけど・・・ どちからと言うと逆をお願いしたい。
するとハルヒはクルッと頭を回して俺の顔を見上げた。
「キョン、今も無防備だけど?」
残念、空腹じゃないんだな。
「お願い・・・」
そんな可愛らしいハルヒの顔に俺は罪悪感を得た。
まぁキスぐらいでいいだろう・・・



「ありがとぅ」
どういたしまして。












その後交代でハルヒの膝枕を受けた俺なんだがー
散々な目に合いました・・・

「ハルヒ、お前のほうが狼っぽいぞ・・・」
「なら何しても文句言わないでよ?」
「やっぱりウルフは俺にしてくれ」

ふぃ、危ない危ない。
180km/時の弾より危なかった。
デットボールしたら骨折れそうだな・・・












その後。

外も暗くなってきたしな。
「ハルヒ、そろそろ帰らないのか?」
「キョンはわたしと一緒にいるの嫌?」
「嫌じゃないけど?」
「今日泊まっていい?」
「どうぞ」

拒む必要も無く逆に嬉しいんだな。
もう既に家族からも認証済み。
ハルヒも普通に台所で飯を食うほどに溶け込んでいた。
まぁその代わりに俺は家族からからかいを受けるのだが・・・
問題発言が多いいハルヒ。
「キョン、一緒にお風呂入りましょ!」
大声で言わないでくれ・・・
家族の視線が一気に俺に集まる・・・
それはそれは『行け行け』といったような顔で・・・
まず俺とハルヒが一緒に風呂に入れる確立はかなり低い。
家は狭いんだ。 お前の家の風呂と一緒にするな・・・
「大丈夫!」





結局、もう家族にズタボロに言われて俺とハルヒは一緒に風呂に入ったわけだがー
「待て!」
そんな言葉にハルヒはビクッとしたようで止まった。
当たり前だ。
俺が先に風呂に入りまだハルヒは外で服を脱ぎ捨て入ってくる直前。
扉でボヤケてよく見えないがハルヒの体は見るからに肌色だった。
意味わかるか? タオルを体に巻いていないとゆう事だ。
「タオル着けろ・・・」
「し、失礼ね、肌色のタオルよ!」
嘘付け・・・ 家にそんな物は無い
「キョン、わたしの事嫌い?」
「なんだよいきなり・・・」
「嫌い・・・?」
「好きだよ、大好きだ」
「ならいいでしょ?」
よくねぇぇえええええええええ!!!
俺の精神力はお前の裸体を見たら一気にゼロになる
それこそウルフの時だ・・・
「お風呂場でやるのもいいかもね」
何を考えているんだ・・・




俺の説得が効いたかタオルを巻いて入浴するハルヒ
狭・・・

決めの台詞はなんとも恥かしいものであった
あぁ、思い出すだけで恥かしい・・・



「あっ、タオルがほどけた」
精神力が赤ゲージになった。













風呂から出た俺が受けたのは家族からの質問の嵐・・・
『なにもしてないでしょうね?』
『ハルヒさんと何かした?』

うるせぇよ、何もしてねえよ。
そのニタニタ顔やめろって・・・







部屋に戻ってゴタゴタ会話して騒ぐ俺とハルヒ。






「こんな幸せがずっと続いたらいいのに・・・」





そんなハルヒの一言で目頭が熱くなった・・・
なんとか必死にこらえたが・・・

「ちょっとトイレ行ってくる」
「うん・・・」


部屋を出た俺は我慢していた尿を出しに行った。


ジャーーーーーッッ


トイレから出た俺に母親からある事が告げられた。









運命が決まる一言。
全てが終わるのかもしれない。
ハルヒ、さようなら、、、