Happy cold -Dreamer’s dream- 12/9(土曜)






瞼の隙間から光が差し込む…
眩しい光が…
朝か…


体が昨日と比べて100倍軽い
ハルヒはもう帰ってるよな…
お礼言わなきゃな…

「スースースー」

え?寝息?
俺は起きてだろ?
誰だ?


床の方から音がするので布団を蹴り飛ばして床を見てみた。


「スースースー」

そこにいたのはハルヒ…
しかもきちんと布団を敷いて寝ている。
どこから取ってきたんだ…

だがさすがに起こす訳にはいかない…
付きっきりで看病してくれたんだしな…
根はきっと優しいやつなんだよきっと…
ただ恥ずかしいから隠してるだけなんだろ?

ゆっくりと静かに俺は部屋を出て台所へ向かった。


「あら、キョン。 もう体大丈夫なの?」
「あぁ大丈夫だ」

待っていたのは母親
なんであなたまで『キョン』と呼ぶのですか…

「てか、なんで体調が悪い事知ってるんだよ?」
「あんたも隅に置けない子ね、あんな可愛い彼女をいつ作ったのよ」

余計な事をいってくれたな… あいつは…

「母さんはあの子なら認めてあげるわよ?」
「何をだよ、大体付き合ってないぞ…」
「嘘おっしゃい、あんたから告ったって聞いたわよ?」

口が軽いやつめ…

「はぁ…」
「言葉遣いもうまいし、料理も上手なんでしょ?」

確かに料理は上手い。
だけど言葉遣いってのは…

「それに可愛い! もしあの子が私の子供なら絶対に手放さないわ」
「そうかい…」

「おはようハルヒ」

ハルヒが台所に目を擦りながら来た。

「おはようキョン。 おはようございます、お母さん」

「お前お母さんって…」
「いいじゃない、もしかしたらそうなるかもしれないんだし」
「私は歓迎するわよ?」
話をややこしくするような事を言わないでくださいよ…

「涼宮さん、昨日は本当にありがとうね」
「いえいえ、人として当然の事をしたまでです」

嘘つけっ
『人として当然』なんて言葉はおまえには使うことが許されていない。


「じゃぁお母さんはお邪魔虫のようだから出かけるわ」
「別に邪魔じゃないが」

「あれー? ハルにゃんだ。 いつきたのー?」

またややこしいのが来た…
「おはよう妹ちゃん、これからは『ハルにゃん』じゃなくて『ハルヒお姉さん』でもいい
のよ?」
「ハルにゃんはお姉さんなの?』
「そうよ」

「待て、まだ気が早いぞ…」

「あれ?お母さんどこか行くの? 私も行くー」







数分したら俺とハルヒ以外は家からいなくなっていた。

「昨日は助かった。 ありがとな」
「お礼を言われるほどじゃないわよ」
「ならいいが」
「まぁ結構大変だったけどね、キョンがいきなりエッチな事してくるから… さすがに慌
てたわ」



嘘だろ… 冗談だろ…?
そんな記憶は微塵もない。




「なんでそんな顔してんのよ、もうちょっとシャキッとしなさい」
「いや、だってな… 嘘だよな…?」



ハルヒは溜息をついてから

「嘘に決まってるじゃない、私はちゃんとお互いを知り尽くしてからやりたいわ」


よかった…
本当によかった…
ハルヒがまぢ顔になるからてっきり俺はハルヒと…

「あんたね… まだ付き合ってもいない人なんかとやるわけないじゃない…」

「んなことより質問いいか?」
「なによ?」
「さっきお母さんやら、お姉さんやらはまぢで言ったのか?」
「当たり前よ。 可能性の中の話よ」
「そうか」
「告白しないの?」
「なにがだ」
「私に告白しないのか、って聞いてんの! 昨日あんた途中で切ったじゃない!」
「ぁぁ、あれか」
「早くしないと他の男に取られるわよ?」

早くってのはどれくらいかかるんだろうか。
まぁハルヒは外形はかなりの美女だが性格に問題がある。
だが性格を直せばすぐに男供は食いつくか?
いやハルヒの事だ、付き合って三秒ぐらいで沈黙の世界にするだろう。
扱うのが難しいんだな。

「俺以外に付き合えそうな男はいるのか?」
「んー そうね、古泉君とか」

そんな所を目撃した日には俺は古泉を体育館裏に呼び出してタイマンで戦うね。 あっ
君、アサルトライフル用意しといてね。


「じゃあ、俺が急に消えたらどうする?」
「テレポートでも使えるの?」
「もしもの話だ」
「そうね… きっと必死にあんたを探すかもしれない。 何年かけても…」
「探す理由は?」
「なによその質問… 卑怯じゃない…」

卑怯でもいい、
ハルヒの本音が聞きたい。


「私は… あんた… いや、キョンが…」

ハルヒはそのまま下を向きながら口曇って黙ってしまった。
ハルヒからの告白なら俺は受け取ってやる。
唯一、俺を楽しい生活に導いてくれた奴だ。


「…」

沈黙が永遠に続くかと思われた。
それが耐えられなくなった俺は先に動いた

「どうした? 顔が赤いぞ?」

ハルヒはゆっくり顔を上げて

「バカ… バカ… バカバカバカ…!!」

バカバカ言うなよ…

「あんたのせいよ!! あんたが消えるとか言ったから想像しちゃったじゃない! ぅぅ…
んぐぅ…」
「ハルヒ…? おい、大丈夫…か…?」

なんで泣くんだよ…
泣く意味がない
なぜなく…?
それにお前は泣いた顔より笑った顔の方が絶対似合う…
しかしそのハルヒの表情もなかなか… じゃなくて!


「いや… 絶対にいや…! キョンがいなくなるなんて… いやよ…!」
ハルヒは俺に抱き付いてきた。
声には張りがなくとても弱ったような感じだ」

「いなくなるはずないだろうに…」
「お願い… いかないで… ずっと側にいて… お願い…」


「何時誰が何処に行くなんていったんだよ…」
「キョンのバカ… もしいなくなったら絶対に許さないから…」

いなくなる事は無い。
ハルヒがそうであってくれと願う限り。

俺もハルヒを抱き締めた。
あたたかい… 人の体温はここまで温かかったのか…
泣きやまないハルヒはとても強い力で俺を抱き締める。

「絶対に離さないから… あんたが告白するまで…」

ようするに俺から告白しろと?

ハルヒは静かに頷いた。

はぁ…まったく


「俺は涼宮ハルヒがす、、、」

「ただいまぁー」



な、なにぃ!?
最悪のパターンじゃないか…
ハルヒが泣いてる状態で俺と抱き合ってる。
見られたらどんなことを言われるか…
妹が来る前に離れるんだハルヒ! 頼む!

「いやよ… あんたが告白するまでは…」

ぁぁぁぁ!

やばい! 後10秒ぐらいで来る!
ちくしょう! もうこうするしかないか!

俺はハルヒの足に手をかけてそのままお姫様抱っこの状態で階段を上っていった。
しかしハルヒは顔を赤くして

「ちょ、ちょっとキョン! なにしてんのよ!」
「とりあえず続きは俺の部屋で、だ!」


バタンッ

勢いよく扉を閉めてハルヒをベットの上にそっと置いといて
俺は床に仰向けに倒れた

「はぁ… はぁ… ぜぇ… はぁ…」
「このバカキョン… 告白するまでは離さないって言ったのに…」
「あ、あんな状態を家族に見られたら恥ずいわ… ぜぇ… ぜぇ…」
「まったく… じゃぁ今度はこうするわ」
「ゴホゴホ… ぅいたたたたっ! ハルヒ! 重い!」

ハルヒは俺の上に座り、じとー っとした目でこちらを見てくる。
視線が痛いので俺は違う方向へ目線を逸らした。
しかし

「キョン、こっち向きなさい」
「ハルヒ、だったらその目やめてくれ…」
「目? 目がどうかしたの?」
「お前のその目線が痛い…」
「はぁ? なにいってんのよあんた…」

俺は再びハルヒの顔へと視点を合わせた
しかしそこには 笑顔のハルヒがいた。
今まで見たことのない、
極上の笑顔が。

「とりあえず重いからどいてくれ…」
「告白! 私がどれだけ待ってあげてると思ってんのよ」
「内蔵が破裂しそう…」
「それが告白なら私はあんたを死ぬまで殴るわ」
「違うに決まってんだろ…」
「はやくっ!」

しかしハルヒの笑顔は消える事なく会話し続けていた。
俺はそんなハルヒが好きなんだ。

「俺は涼宮ハルヒが好きだ… ゴホゴホ…」
「私キョンが好きよ」

わかった。 わかったから早くどいて…

「あっ、ごめん」
「はぁー、はぁー、はぁー」
「酸欠状態?」
「かもな… はぁーはぁー」
「じゃぁ酸素あげるわよ」

ハルヒはフフフッと笑って顔を近付けてくる。
何する気だ… 酸素?
もしかしてこいつ…


だけど拒む必要は無い。
ハルヒがすることだから俺に拒否権が無い。
しかも嫌なわけでもないからな…

酸素目的だからな? 誤解するなよ?








覚悟に決めた俺だったが
ハルヒは唇同士を付ける寸前で止めた。

「もう一度だけ聞くわ」

ハルヒの吐息が顔に当たる…

「私の事を幸せにするのね?」

当たり前だろ…
しかしこんな寸前にいるのにキス出来てないってのは、なんだか悔しいな…
こう間近でハルヒを見ているとやはりかなりの美女だ。
吸われそうなぐらい綺麗な黒い瞳・・・
女はキスはしたい側なのだろうか?されたい側なのだろうか・・・?

「ハルヒ、キスはしたい側か?されたい側か?」
「何よいきなり・・・ そりゃ女だったらされたい側よ」
「そうか」

俺はハルヒの背中に腕を回してそのままこちらに寄せた
ハルヒは何か驚いたような顔をしたがすぐに大人びた笑顔になった。

「キョンはしたい側だったの?」
「どっちでもいいさ」
「そぅ? じゃぁ・・・ お願い・・・」






















それはそれはとても長いキスだった・・・
ハルヒは満足気な顔で

「土日はデートに行きましょう!」 と
+「衣服店に行ってキョンに色々買ってもらったりして、その後はお楽しみ」

俺はハルヒを睨みつけてみた

「な、なんで睨むのよ・・・」
「なんで服まで奢りなんだよ」
「いいじゃない」
「はぁ・・・」

とゆうかお楽しみってなんだよ・・・

「よいしょ」 とハルヒは親父のような台詞をはいて俺の上からどいた。

「うるさいわね・・・」

結構結構。



















「キョンくーん 入るよ〜?」

ビクゥッ! としたハルヒの表情
ついでに俺はビクゥッ!の三倍ぐらいビクッたと思う。

「ハルにゃん何してたの〜? 顔が真っ赤だよ?」
「なんでもないわよ妹ちゃん」
「キョンくんはなんで倒れてるの〜?」
「疲れたからだ。 てかなにしに来た」
「お母さんがお菓子あるから取りに来なさいだってさー」
「そ、そうか。 ハルヒは待ってろよ」
「うん」





妹がテクテクと廊下を歩いていく後ろで俺はドスゥンドスゥンと歩いていく

「あっ、キョン。 これ持っていって」
「あぁ」
「で、どうだった?」
「なにがだよ・・・」
「涼宮さんと何もしなかった?」
「なんの話だ」
「告白とか」
「しとらん」

まったく・・・ これでも親なのか・・・?
子供の青春を自分のものにでもしたいのか? この人は・・・


「あっ、キョンくーん 私もハルにゃんと遊ぶ」
「くーるーなっ」
「ハルにゃんはお姉さんになるの?」
「もしかしたら、な」
「やったー」 と妹は踊りながら自分の部屋に戻っていった



さて、ジュースが二人分、ケーキが二人分って事はハルヒのもだよな?
なんで居るって確信できたんだよ・・・



「はいるぞ〜」

ガチャ・・・

「キョン、聞きたいことがあるわ」

いきなりか・・・

とりあえずお盆を机に置いて聞くことにした

「なんだよ」

「まずこれよ」

ハルヒは俺の作ったSOS団のアルバムを持っている

「それがなんだ?」

「まったく・・・ あんたはこんなストーカーの趣味があったなんて・・・」
「ないぞ」
「じゃぁこれは何よ」

ハルヒが開いたアルバムはハルヒの写真だけが入っているものだった・・・
なぜだ・・・ 隠しておいたはずだぞ・・・

「いつ取ったのよ・・・ これやこれ・・・」
「いつだっけな・・・」

夏合宿や花火などで撮った写真が大量にある・・・
ページをめくってもめくってもハルヒハルヒハルヒハルヒ・・・

いっておくがそれは一人一人を別々にまとめてあるだけだからな・・・
ハルヒのだけは隠しておいたはずなのに・・・

「どうゆう事なの?」
「それはただ一人一人個別にまとめてあるだけだ」

ハルヒはこちらを睨みつけてきた

「ならこれとこれとこれを見ろ・・・」

俺が出したのは朝比奈さんセットと長門セットと作りたくなかったが古泉セットを出した

「なによ、がっかりしたわ・・・」
「なんでだよ」
「私だけ特別にー って事かと思ったのに」

ハルヒは俺の持ってきたジュースを飲みながらベットに座った

「じゃぁ俺からも質問いいか?」
「何?」
「なぜ昨日俺が寝てるとき携帯で写真を撮ってた・・・」
「!!!!!  な、ななな、なんで知ってるのよ!」


昨日の話しに戻るが夜遅くにパシャパシャと音がするので目を開けてみたらハルヒが携帯で写真を撮ってた・・・

「あれは・・・ そうよ、あれ」
「あれ?」

ハルヒは頬を染めているが

「それいじょう聞いたらぶっ飛ばすわよ・・・」

それはゴメンだ





ハルヒはケーキをパクパクと食って俺のにも手を伸ばした
俺はハルヒの手をパシッと叩いた
ハルヒは「むぅー」と声を漏らして俺のケーキの上に置いてあったイチゴを素早くとって口に入れた

「うぁぁぁあああああ!!!!! お前なにやってんだよ!!!」
「声がでかすぎるわよ・・・ いいじゃないイチゴの一つや二つ・・・」
「サイアクだ・・・」

俺にとってケーキのイチゴとゆうものは
内閣の内閣総理大臣みたいなものだ。
それが居なくなったらどんだけ困ることやら

「返せ・・・」
「口移しならまだ大丈夫よ?」
「一回でも噛んだか?」
「もう数回噛んだわ」
「いらん」

ハルヒの口の中でグチャグチャになったイチゴを想像しながら俺はケーキ本体を食べ始めた
まったく・・・ なんでこいつはいつも他の人の承認を受けずに物事を実行するのか・・・

「それにしてもいい家族じゃない」
「なんでだよ」
「お母さんはいい人だし」
「さっきこれ取りにいったとき、お前と何かなかった?ってからかわれたぞ・・・」
「で、あんたは何ていったの?」
「なんにもない って言っといた」

大きく溜息をついたハルヒ

「あんた・・・ 正直に言っとけば私もこの家に簡単に出入りできるようになったのに・・・」

そうか・・・  これからハルヒが家に来るたびに俺は親にからかわれるハメになるのか・・・

「そこまで考えてなかった・・・」
「じゃぁ今から言いにいきましょう」

ハルヒが立って部屋から出ようとしてる

「待て! やっぱ言わなくていい!」

しかしハルヒは耳にはいれずに俺の襟を持って俺を引きずって歩いていく

「行くわよ! これでもう私はこの家族の一員ね」
「何もかもが早い! 高校生で親に挨拶ってどんだけ早いんだよ!」
「その分、後で面倒が減るじゃない!」
「減らさないでいい!」








そんな攻防が続いたがなんとか俺の勝利をあげて部屋に戻った
しかしハルヒは腕を組んで不機嫌オーラを漂わせている

「なによまったく・・・」
「しょうがないだろ・・・ 俺にだって色々問題がある」
「あんたと家族関係がどうなるなんて別にいいわよ、いかに私とあんたが一緒にいられるかが問題なの!」
「確かにそうだが、友達として家に上がれ。 それなら多少面倒は減る」
「いやよ、恋人として認められたいの!」

そういってハルヒはベットに寝ッ転がって壁の方を向いてしまった。
まったくこいつは・・・

「あー、もうわかったから」
「何がわかったのよ」
「・・・」

適当に台詞を吐いてしまった俺のミスだ・・・
何も考えてないです

「もういいわよ・・・」

返す言葉が見つからない・・・
ハルヒの背中がとても小さく見えた。
しかもその体勢はいかにも・・・

「何がしたいんだよ・・・」
「・・・」
「おい」
「・・・」

ハルヒの体勢はいかにも後ろから抱いてください見たいな感じだった
しかしハルヒの事だ、どうせ何か狙っている
いまだに不機嫌オーラが漂っている。 この空間がハルヒに支配されそうだ・・・
とりあえずチャレンジか・・・

俺は後ろからそっと近づいて手をハルヒの前に回してみた
そんでもって抱いてみたら

「キョ、キョンのえっ モガモガ・・・」

やはりな・・・ いちよう口を押さえる準備だけしていたがまさかの不意打ちな発言だ
しかもかなりの大音量だ・・・

「オイ、今なにを言おうとした・・・」
「モガモガ・・・」
「話しても大声で喋るなよ、いいな」

ハルヒは大きく頷いた
「キョンの・・・・ ぇっち・・・」とハルヒは残念そうにいった
「お前なぁ・・・」
「こう言えばキョンのお母さんが駆けつけてこの状況を見て『あぁ、こうゆう関係なのか』って思う予定だったのに」

しかしハルヒは俺の手を握った状態なので後ろから俺が抱き付いてる状態だ
今の状況を見たら間違えなくそう思われるだろうに。

「キョンなんて嫌い・・・」
「じゃぁその手離せよ・・・」

ハルヒは首を横に振った

「はぁ・・・」
「嫌い・・・」

「お前が俺のこと嫌いなら俺もハルヒの事嫌いになるかもな」
「じゃぁ好き・・・」



何が言いたいんだよ・・・