俺が見る限りハルヒの下半身から上に向かって姿が消え始めていた。
多分俺も同じように消えているのだろう。
これが世界の終わり。
世界の闇の中に俺とハルヒの二人だけが立っていた。
彼女は最後は優しく笑ってくれた。
「ありがとう」
その言葉だけを残してハルヒの姿は消えてしまった。
世界の最後の言葉に相応しいのかもしれない。
俺の返事も聞かずに消えていったところがハルヒらしい。
周りが真っ暗だ・・・
音もなく光もなく、永遠の闇が続いている。
これが死んだ後に行く世界か。
天国でもなく地獄でもなくわけわからん世界。
本当に天国や地獄はあるのか?
最後にハルヒと会話してから約3分が経過した。
前回元の世界に戻った方法は、ハルヒとキスする事だった。
時間が足りなくてそんな暇は無かった。
第一にそれで元の世界に戻れる確信がなかった。
今回はヒントは無かったんだ。
ヒント無しでIQ;150ぐらいの問題が解けるか?
不可能だ。 それほど難しい事なんだ。
ハルヒが望んでこの世界は消滅した。
ならばその神と最後まで一緒に居た俺はすごいんじゃないのか?
自慢してやるよ、閻魔大王でも、大天使であろうが。
『俺は神とキスしたことがあるんだぜ』ってな。
急に孤独感が嫌になってきた。
何も無いこの世界。
感覚も無い、呼吸をしている気もしない。
天国へも地獄へも行けない。
ここはどこなんだよ。
もう一度世界を作る気は無いのか? ハルヒさんよ。
もしもう一度お前に会えるならば、
谷口や国木田の前であろうと抱きついてやるよ。
それでもって俺の想いを全て伝えてやるよ。
だから頼む。
もう一度世界を作り直してくれ。
今まで通りの生活が出来る世界。
そんでもって俺とハルヒが一緒にいられる世界。
もう壊れることの無い世界を。
ピシッ・・・ パシッ・・・