Difficult duty 12/18


「はぁー」

とんでもなく重っ苦しい団長様の溜息が部屋に広まる。
なんともいえない居心地の悪い空間になってしまった。
理由は決まっている。 ハルヒ自身が退屈だからだ。
これしか無いだろう。 もし他にあるならば是非教えてくれ。

「はぁー」

なぜ俺の顔を見てから溜息をするんだ。
まるで俺に不満があるみたいじゃないか。
これでも結構頑張って生きてるんだよ。

「ぁー もう」

そうですか、どうせ退屈とか言うんでしょ?

「胸がいたいったらありゃしないわ」

新たな発言がここに生まれた。
胸が痛い? それは普通に痛みを感じて痛いのか?
それとも… いやそれは無いだろう。
ですよね、ハルヒさん?

「バカ…」

多分いままでハルヒにバカと言われた回数は既に三行を超えているかもしれない。
バカバカ言われている人の身にもなってみませんか?

んなことはどうでもいいんだ。
ただ一つだけ気になる事があるんだ。

「ハルヒ、一つ聞いていいか?」
「なによ?」
「なにしに来たんだ?」

そう、ここは俺の家だ。
突然ハルヒがなんの予告も無しに家に上がり来んできた。
幸い家族は俺を残して出かけているのでいいのだが…

「ちょっとお願いがあるのよ」
お願い?
「そうよ、簡単な事よ」
簡単っていうのは俺にとっての簡単なんだろうな?
「今夜この家に泊めてくれない?」





それはそれは。
俺にとってvery hardなお願いですよ。
とりあえずっだ

「理由から先に言え」
「今、家出中なのよ」

意外だな。 ハルヒが家出か
さぞかし親も嬉しいだろうに。
いや、でも可愛い娘がいきなり消えたら心配するだろうな。

「またなぜ…?」
「口喧嘩よ、うざったいったらありゃしないわ」
「で、なんで俺の家なんだ? 朝比奈さんや長門の家でもいいじゃないか」
「この家が一番近いしね、それにキョンの親にも顔知れられてるし」

俺がからかわれてるのも知らずにこの団長め…

「で? いいの? だめなの?」
「もし、ダメと言ったら?」
「しょうがないから野宿でしょうね」

野宿!?
健全な高校生が真冬に外で!?
なんか想像するだけで泣けてきたぞ。

「一晩だけだぞ…」
「ほんとにっ!? いいの?」
「しょうがないだろ… 野宿して風邪でも引いたら俺のせいになるしな」

まったく…
なんでそんなに嬉しそうな顔するんだよ

「だって、す… じゃなくて、野宿するよりは何百倍はましよ!」
なんか言いかけたな…
「それよりキョン、感謝しなさいよ? わたしと一緒に一晩過ごせるんだからね?」
一瞬追い出そうかと思った。
しかしハルヒの極上の笑顔の前では何も通用しない気がした。

「家族が帰って来る前に風呂入れ」
「まぁ、そうね」
『たっだいまー』

バット タイミング…

「うわぁ…」 と声を漏らしたハルヒ
さて、どうしようか…
「明日はどうせ休日だし入らなくてもいいだろ…?」
「ばっかじゃないの!? わたしはお風呂入らずに寝るなんて絶対出来ないからね!?」
「じゃぁどうする…」
「んー そうね… でも… さすがに… いや… でも…」
「なんだよ」
「ぅーん、いやこれはさすがに…」
「早く言えって」
「一緒に入るってのはどう…?」
ハルヒは顔が完熟トマトのように赤かった。
しかもかなりもじもじしながら…
なんだか… 可愛いぞ…?

「銭湯に行くか」 と前フリを無視する俺。
「そ、そうよね、一緒になんてバカな事考えてたわ」















なんとなーく 予想していかだ…








「混浴…?」
「な、なんでよ…」

なぜ今日に限り混浴なのかは不明。
しかし自宅で入るわけにもいかないのでとりあえず中に入った。
ハルヒと一旦更衣室で別れて服を脱ぐことに。

いや、ちょいまて…
心臓よ、大丈夫か…? なんかいつもの3倍ぐらい早く鼓動してないか…?
そしてもう一つ俺に試練が残されていた。
それは浴場に入った瞬間の出来事だった。

「か、貸し切り…?」

人の気配はゼロ。
ハルヒもまだ入ってきていないようだ。
しかし… 貸し切りって…
とりあえず入ろう、寒い…

ザップーン…

ふぃー 落ち着くぜ。

ガラガラガラガラ…

さて、新たな試練が俺の前に立ちはばかった。
クルッと振り向いた先にはバスタオル一枚の姿のハルヒ…

「ちょっと… あんまりジロジロみないでよ… 恥ずかしいじゃない…」

ハルヒって… こんなにもスタイルよかったっけ…?
今にも鼻血とか出そう…
「見るなーっ!」







ハルヒが隣りに座り沈黙の時間が続く。
目のやり場に困る…
少し視点を動かせばハルヒが映る…

「ちょっと… もう怒らないからこっち見なさいよ」

いや、見たらこっちがおかしくなりそうなんだ…

「もういいわょ…」
と言い放ったのはいいのだが…
少し、本当に少しずつハルヒは俺に近付いて来る。

ピトッ…

肌がくっついた…
やめてくれ… 頼むから…

しかしそんな願いも意味なくハルヒは更に近寄り俺の肩に頭を寝かした。
「キョンってこうゆうの弱いんだ…」

貸し切りでよかった…





その後数分間硬直してからハルヒの要望で背中の流し合いをした。
色々ハプニングがありました… はい…
ハルヒに5分ほどお風呂の中で説教を喰らい、とぼとぼとその場を去った。




帰り道も色々な意味でほてっている俺。
不意にハルヒの手を掴もうとしてしまったがなんとか回避した。
しかしハルヒは気に入らなかったようで俺の手をとった。

「こっちの方が温かいでしょ?」
確かに… だけど・・・な・・・
なんかお互いに恥かしくないか?






自宅に戻り親にばれないようハルヒを上に上がらせた。
俺は冷蔵庫に向かい缶ジュースを二本取って上の階にあがった。



「ハルヒ、ジュースいるか?」
「あっ、うん…」
「どうしたんだ? お前らしくない・・・」

ハルヒは床に正座で座っていた。
ハルヒが正座なんて珍しいな、なんか女の子っぽく見える。

「悪かったわね・・・」

ちっ、読まれたか。












さて、次の問題だ。
何かって?夕食だよ。
どうやらハルヒは食べてないらしく俺も食べてない。
いっそうのこと親に白状するか? いや、それだけは無理。

「わたしは別にいいわよ?」

俺がだめなんだ。
女の人が俺の部屋にいるって時点でアウトだ。
しかもこんな夜に。 アウトだぞ、スリーアウトチェンジだぞ。

「わたしお腹減ってないし気にしなくていいわよ?」

くぅううぅぅぅー・・・

んむ、ベタな展開だな。 腹減ってないって言った瞬間に腹が鳴る。

「無理しなくていいぞ」
「い、今のは無しよ!」
「ちょっと待ってろ」

そんな勢いで部屋から出た俺だが。
どうしようかな・・・ 親に二人分作ってくれって言うか? いや不自然だ。
それにハルヒの好き嫌いもわかんない、いや、多分無いだろうな

「あれ? キョンくん、どうしたのー? もう皆ご飯食べ終わっちゃったよ?」

ピョコッと風呂上りの妹が出てきた
てゆーかいつのまに食ったんだ・・・

「なんかキョンくんが出かけてるときー」

うむ、ナイスな情報ありがとう。
それとアイス食べながら歩き回らないこと。

「母さーん、飯は?」
「そこにあるでしょ?」

どれどれ・・・ ! これならいけそうだ。

「ちょっとやることあるから持ってっていいか?」
「やる事って?」

ハルヒの世話なんだが・・・

「勉強だよ勉強」
「ならいいわ、ご飯と味噌汁注いで持ってきなさい」

俺は食器棚から茶碗二つと味噌汁専用のお椀を二つ持って親にばれないよう注いでダッシュで部屋に戻った。
俺って結構こうゆう仕事むいてるかもな。
・・・こうゆう仕事ってなんだろう、忍者?

「お待たせー ・・・ お前なにやってんだよ・・・」

ハルヒはビクッとしてから恐る恐る顔をこちらに向けている感じだった。

「た、ただの私物検査よ」
「ふーん」
「本当よ、別に日記とか探してたわけじゃないからね」
「ふーーん」
「な、何よその目・・・」
「ふーーーん」
「わ、わかったわよ、謝ればいいんでしょ!? 謝れば!」
「で、なんか発見したか?」
「なんも、つまらない部屋ね」

悪かったな、でもお前には日記は発見できないさ

「でもアルバムなら見つけたわ」
「あぁそれか」
「懐かしいわね、夏合宿の時かしら?」
「そうだな」
「はぁー キョン寝てるわね」

人間誰だって寝るさ、とりあえず飯ここに置いとくぞ。

















飯をワイワイ楽しんで食った俺とハルヒ。
後々家族にバレたなと思う・・・ 時既に遅し。
妹が扉を叩きながら
「ねぇーキョンくーん、誰かいるのー?」
「いない、勉強中だから邪魔するな」
「はーい」

ふぅ、危ない危ない。 鍵はかかってるし大丈夫だろう。

「ちょっと気になったことあるんだけど・・・」
少々顔が曇ってたハルヒ

「なんだ?」
「寝るときは・・・ どうするの・・・?」

考えてなかった・・・ しまった・・・
さすがに予備の布団を持っていけばバレル・・・
ハルヒは困ったような感じでベットを見ていた

「わ、わたしは床で寝ようか?」
「いや、お前はベットで寝ろ、俺が床で寝るから」
「それじゃぁキョンに悪いわよ・・・」
「この部屋および空間は俺に全ての決定権がある」
「何よそれ」
「だーかーらー、お前はベットだ、俺が床」
「だ、だってそれじゃぁ寒いでしょ!?」
「しょうがないだろ・・・」
「じ、じゃぁ、こうしない?」

ハルヒが上げた提案は二つ

・二人で床で寝る    まったく意味が無い、却下

・二人でベットで寝る  

まぢか、本気か? 俺が何もしない確立は高くはないんだぞ?
「キ、キョンなら大丈夫よ・・・ 信じてるから・・・」

信じられてるのは嬉しいんだが・・・ 俺だって壊れる時は壊れる。
第一にお前は外形はパーフェクトだ。  だから・・・ もしかしたらもあるぞ?

「もしかしたらが起きたら責任とりなさいよ?」
「責任って・・・」
「まぁ、あんたならわたしはいいわよ?」
「大丈夫、何もしないと思うから」
「ふーん、誘惑しても?」
「するな」

ハルヒがガキのような笑顔でこちらを見てくるがそのままスルーして本棚から最近読み始めた小説を取った。

「何それ?」
「小説だ」
「どうゆう系?」
「恋愛・・・」 言うのが恥かしいっつうの。
「みしてみして」
「うぁ、こら」

ハルヒが俺の首に手をまわして後ろから肩らへんに顔を出してきた。

「な、なんのつもりだ」
「いいじゃない、こっちの方が見やすいし」

そうゆう意味じゃなくて。
胸が背中に当たってます・・・ 今にも壊れそうな俺・・・

「ぁー、もういいや寝よう」
「そうね、また明日もあるし」
「朝には出てけよ?」
「今からのキョンの行動次第ね」
「わけわからん」








電気を消して布団に潜り込んだ。
うぬぬ、二人も入っているとすぐに中が温かくなるな。

「ねぇ、キョン」
「なんだ?」
「なんかお礼しなきゃいけないと思うんだけど・・・」
「別にいい」
「よくないってば、貸し借り作るのが嫌いなの知ってるでしょ?」
「じゃぁなんでも好きにどうぞ」
「そうね、なら今夜はわたしをキョンのものにしてあげるわ」

は?
お前、言ってる意味わかってるか?

「何よ、文句あるの?」
「今文句言ったら10分は続く」
「なによそれ、今夜は自由よ? なんでもしなさいよ」
「何もしません」
「まったく・・・」


諦めたハルヒかと思ったが


「頼むからやめてくれ」
「うん?」

ハルヒは俺の足に足を絡ませてくる・・・ 逃げれん・・・

「バタバタしないでよ、降参しなさい」
「嫌だ、俺が変な気になるだろう」
「別にいいわよ? 責任とるなら構わないわ」
「よーくなーい!」




その後、足は完全にハルヒに捕まった。
「ぬぬぬ・・・」

「言ったでしょ? 降参しなさいって」
「本当に止めてください、俺はもういいです」
「お礼がしたいって言ってるでしょ?」
「別にいいです、気持ちだけで」
「言葉遣いがなんだか気持ち悪いわね・・・」
「いいから離せ!」






















まぁその後何をやったかは想像に任せる。
俺では語りつくせない。

とりあえずこれがきっかけで学校でもプライベートでもハルヒがなんだが優しくなった、って事だけ言っておこう。

なんだかんだ言ってこいつも優しいんだよ、ただ恥かしいから隠してるだけなんだろ?

「うっさいわね・・・」